特区適用の「伊勢志摩インターネット高校特区」開校1年が経過した代々木高校の今

建物は元ホテル施設を利用。窓からは英虞湾が一望できる自然豊かな環境

建物は元ホテル施設を利用。窓からは英虞湾が一望できる自然豊かな環境

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 構造改革特区法により開校された「代々木高校」(志摩市阿児町、TEL 0599-43-6177、学校長=一色真司)は今年4月1日で1年を迎えた。

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 特区法による大きなメリットは、学校建設設置基準を遵守しなくても良いこと。学校法人でなくても運営ができること。学習指導要項を遵守しなくても良いこと。である。

 同校は、文部科学省の「学校設置基準」を大幅に譲歩できるようにした特区法により、学校施設の賃貸契約、面積基準の規制緩和、その他施設設置の規制緩和を受けて、元ホテル施設を利用して開校した。さらに、志摩市の後押しにより、低価格で施設の賃貸契約を結ぶことができ、運営コストの抑制が可能となっている。また学習指導要項の範囲では自由度が利かないので実現することも難しかったが、昨年12月には定期的に登校を義務付けている「スクーリング」の一日を志摩自然学校(志摩市大王町TEL0599-72-1733)で英虞湾の自然を体験するプログラムに充てることができた。

 現在は生徒数約300人のうち約1割が県内在住者で占める。生徒達は思い思いの学習方法によって授業を履修し、学んでいる。

 同学校長は、「全日制の高校が『面』とするならば、定時制の高校は『線』。通信制の高校は『点』。我々通信制高校は『点』ではあるが、制約がない分、自由度を逆手にとって、この伊勢志摩の自然環境豊な場所をプラットフォームに地域全体を『面』として考え、生徒達とともに地域と一緒になってコミュニティー形成し、そこに学び環境を構築したい」と話している。

 1年を経過した今、同学校長は次の展開として『伊勢志摩元気プロジェクト』をスタートさせた。ひとつは、子育て支援グループなどNPOに施設を提供し、乳幼児を含めた子供たちの交流の場としてのこどもに関わるプラットフォーム「志摩こどもランド」。もうひとつは、次代を担う若者に就労の場を与えるためのステップとして、地域の若手起業家たちがそれぞれのアイデアや意見を出し合ったり、お互いの事業の情報交換をしながら新しい事業を興していけるようなプラットフォーム「伊勢志摩ビジネスファクトリー」がそれである。

 同校は、主に長年社会の歪みにより既成概念の学校になじめなくなった生徒を、自由教育を中心として一人一人を大切に受け入れている。個性、才能溢れる生徒達の可能性を引き出すためにもこの二つのプラットフォームが今後重要な役割を果たしそうだ。同校の発展と「伊勢志摩元気プロジェクト」の今後に期待したい。

※伊勢志摩インターネット高校特区とは
 恵まれた情報通信ネットワーク資源を生かして株式会社による通信制高校を設立することにより、地域の不登校の生徒や高校を中途退学したがもう一度勉強したいという人などの受け皿となるとともに、豊富な自然やスポーツに適した環境を生かした教育を実施し、自然とスポーツを加えた情報通信ネットワークの町、志摩市を全国にアピールしていくことを目的とした構造改革特区。この特区認証に基づき三重県志摩市長によって認可された通信制高校。

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