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伊勢の柴原洋一さん「原発の断りかた」出版 郷土への強い思いと行動が原発建設阻止

伊勢の柴原洋一さん「原発の断りかた」出版 郷土への強い思いと行動が原発建設阻止(撮影=岩咲滋雨)

伊勢の柴原洋一さん「原発の断りかた」出版 郷土への強い思いと行動が原発建設阻止(撮影=岩咲滋雨)

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 伊勢市在住の柴原洋一さんが2月22日、中部電力芦浜(あしはま)原子力発電所の建設計画の白紙撤回までをまとめた「原発の断りかた ぼくの芦浜闘争記」を出版社「月兎舎(げっとしゃ)」(伊勢市馬瀬町、TEL 0596-35-0556)から出版した。

【その他の画像】「原発の断りかた」の著者=柴原洋一さん

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 柴原さんは、1953(昭和28)年志摩市浜島町生まれ。信州大学(長野県松本市)人文学部卒業後、1978(昭和53)年から三重県の高校英語教師に。1986(昭和61)年~1991(平成3)年まで自ら志願して南島高校(度会郡南伊勢町東宮、現在閉校)に勤務、1983(昭和58)年から芦浜原発反対闘争に加わり1990年代に「脱原発みえネットワーク」の事務局長を務めた。

 同著は、月兎舎が年に4回発行する季刊誌「NAGI(なぎ)」に2015(平成27)年61号から2018(平成30)年74号までの14回約3年半にわたって連載していた「芦浜闘争私記」を1冊にまとめたもの。中部電力を初めとする原子力利権に絡む国や県と南島町民との闘争の物語。

 中部電力(愛知県名古屋市)は、1963(昭和38)年に今の度会郡南伊勢町(旧南島町)と大紀町(旧紀勢町)の間にある芦浜に2基の原子炉をもつ「芦浜原子力発電所」の建設を計画すると発表。2000年2月22日当時の三重県知事だった北川正恭(まさやす)さんが芦浜原発白紙撤回を表明するまでの約37年間、南島町と紀勢町の住民は反対派と推進派で町が分断する苦しみを味わい続けた。1964(昭和39)年には日本で初めて漁船400隻、総勢2000人以上の漁民による海上デモが行われ、後の総理大臣となる中曽根康弘議員を含む国会議員らの視察を阻止するなど、さまざまな反対運動を続けてきた。

 1967(昭和42)年、三重県知事の田中覚(さとる)さんが原発問題に終止符を打つと表明。1972年に次の田川亮三さんは6期約23年間の長期にわたり知事を務め、推進派に。1995(平成7)年北川正恭さんが三重県知事に当選。翌年の1996(平成8)年に南島町芦浜原発阻止闘争本部が、県民81万2335人の反対署名を三重県知事に提出すると、それ受けて北川さんは、1997(平成9)年3月に「発表から37年もの間地元住民を苦しめてきたのは三重県にも責任がある」とし1999(平成11)年まで冷却期間を置くと表明。そして2000(平成12)年2月22日、三重県議会において白紙撤回すると発表した。

 柴原さんは「北川さんの白紙撤回は英断。北川さんが原発を止めてくれたとみんな言う。それは間違いない。今も感謝しているし、北川さんには足を向けて寝ることができないと言う。しかしながら北川さんに英断させたのは、37年間の南島町民の郷土への思いと81万もの反対署名を集めた行動であることは間違いない事実。原発は計画段階から町を分断させ、地域を破壊させるということを多くの人に知ってほしい」と訴える。

 月兎舎の吉川和之さんは「発刊にあたって、ストーリーとして読んでもらいたかった。現在、三重県に1基も原発が無く、何の心配もせず生活できるのは、柴原さんたちのような人たちが原発建設を阻止してくれたおかげ。そのストーリーが今につながっているということを噛みしめてほしい。今現在も原発建設に反対し活動している人に、何かのきっかけや励みになれば」と話す。

 芦浜原発白紙撤回20年記念イベント「三重県に原発がない理由(わけ)」が2月24日13時30分~16時、津リージョンプラザお城ホール(津市西丸之内、TEL 059-229-3300)で開かれる。芦浜原発反対闘争初のドキュメンタリー短編映画「原発夫婦」短編版(内谷正文監督)の上映会や元自民党三重県議会議員団長の乙部一巳さんによる特別講演のほか、柴原さんの書籍販売などが行われる。主催は、「原発おことわり三重の会」(TEL 090-1099-1520)。

 3月22日14時から、「カフェめがね書房」(度会郡大紀町野原)で「人々はいかにして原発から命の海を守ったか」をテーマに柴原さんによる発刊記念トークショーを開催する。

 価格は1,650円。四六判220ページ、2000部発行。県内の主要書店、同社ホームページなどで購入できる。

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