伊勢志摩で最も高い標高555メートルの朝熊岳(あさまだけ)展望台から1月1日、2011年最初の朝日を見ようと約2,500人が詰めかけた。
山頂展望台の駐車場には「ご来光」を一目見ようと、大阪、京都、滋賀など関西圏のナンバーをつけた自動車のほか習志野、東京、千葉など関東圏のナンバーもいた。「伊勢神宮初詣と初日の出ツアー」などのバスツアー客も。中に約2時間近くかけ山登りでふもとから山頂にたどり着いた健脚者らも50人近くいた。
6時15分ごろ薄っすらと東の空が明るくなる。6時36分ごろ水平線の境からオレンジ色に輝く光と空のブルーが美しいグラデーションを作った。6時57分ごろ水平線の上にかかった雲のふちが輝き、空との臨界を際立たせると、その場の人々の心を高揚させた。7時ごろにその雲の隙間から一筋の光が現れると一斉にカメラのシャッター音が鳴り響いた。中には初日の出に手を合わせ感謝の言葉を発するものもいた。
伊勢湾と太平洋、条件がそろえば富士山を眼下に見下ろすことができる朝熊岳は、有料観光道路「伊勢志摩スカイライン」を通って山頂まで登る。伊勢神宮の鬼門(北東=丑寅)を守る「金剛證寺(こんごうしょうじ)」(伊勢市朝熊町岳)が山頂付近に建ち、「お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」と伊勢音頭の一節にも唄われ、江戸時代から伊勢神宮と同寺を参詣する風習が残る。近年パワースポットブームの影響も手伝い、同寺への参詣者も増加傾向にある。
伊勢志摩スカイラインではこの日、先着500人に「朝熊山初日の出汁」を振舞った。2日~15日までの期間、通行可能時間を日の出時刻前の6時に変更し開放。アマチュアカメラマンらは、1年でこの期間だけ自由に自動車で山頂まで登れるため、ご来光や富士山を撮影しようと足しげく通う。