「こんなすごい写真はどうやって撮るんですか?」「毎日休まずコツコツ通うことですね。それしかないです(笑)」――鳥羽市在住のカメラマン岡村廣治さんの写真展が3月2日から始まった。先の会話は同会場での、見学者と岡村さんとのやり取り。
伊勢志摩の早朝の風景を撮り続ける岡村さんの写真展「我がふるさと徒然なるままに…Part4」が、鳥羽ショッピングプラザ「ハロー」(鳥羽市大明西町)2階催事場で開催されている。3月20日まで。
同展は、伊勢志摩から直線距離で200キロ以上離れた富士山を収めた厳選の6枚やダルマのような形に見える朝日、朝焼けの漁村など伊勢志摩の美しい風景を中心に昨年2月8日~今年2月24日までに撮影した36点を展示する。
昨年2月8日、まん丸の朝日をバックに汽車が走っているように見えるタンカー船を撮影した、タイトル「朝日を背に5両連結の汽車のように見える大型タンカー」は、毎日新聞に寄せられた投稿写真の中から選ぶ「2010年あなたのニュース写真年間賞」のグランプリに輝いた。
伊勢神宮の鬼門(北東=丑寅)を守る寺として伝えられている金剛證寺(こんごうしょうじ)が山頂付近に建つ標高555メートルの朝熊岳(あさまだけ)へは、早朝の富士山を撮影しようと、ゲートが6時に開く元旦から1月15日までの特別期間、有料観光道路「伊勢志摩スカイライン」を毎日通い続けた。
今年1月21日の夕方18時58分ごろ、水平線から現れる満月をダルマの形で撮影した作品は非常に珍しいもので、岡村さんは「月は太陽と違って1日違うだけで月の出の時間、場所が大きく変化するので1日早いと周囲が明るすぎるし、1日遅いと暗くなり気温、水温が下がってしまい(蜃気楼ができる条件を満たさず)ダルマの形にはならない」と撮影の難しさを説明する。
岡村さんは「夕景の作品は今回が初出品。鳥羽からはきれいな夕景が撮れないので、賢島にも何度も通った。伊勢志摩にはまだまだ知らないきれいな風景が残る」と話す。「夏至の日に富士山と朝日が重なる二見の夫婦岩はとても有名になった。興玉神社の境内にはその前後で多くのカメラマンが詰め掛け今では『カメラマンの聖地』となっている。そんな社会現象が起こることは地元民としてもうれしい。その夏至の日前後に朝熊岳の山頂から見る富士山の右肩に朝日が顔を出す。しかしながら日の出時刻が早朝4時30分ごろと早すぎてゲートが閉まって車で山頂には登れない。一生のうちに1度は撮影してみたい。きっと社会現象になる」とも。
最近はツイッターにも画像をアップしてつぶやく岡村さん。「1月に富士山が観測できた日はとても多かったが2月は少なかった。でも久しぶりに3月3日から3日間連続で富士山が現れた。朝早く起きるからその場に立ち会える。(身体が)元気なうちは、毎朝撮影し続ける」と意欲を見せる。