ドラマ「高校生レストラン」(日本テレビ系列)のモデル校となった三重県立相可高等学校(多気郡多気町)食物調理科の生徒に9月8日、ミシュランガイド1つ星の日本料理店「新宿割烹 中嶋」(東京都新宿区)の中嶋貞治さんからプロの技が伝授された。
ミシュランシェフ伝授の天然真鯛の変わりあら炊き、白玉味噌がミソ
全国唯一の高校生レストラン「まごの店」(同)は、「調理クラブ」という同校のクラブ活動の一環として、現役高校生が実際に調理し、接客、販売、会計など全ての業務をこなす。さらに味にもこだわっているため、営業日には必ず行列ができる店として全国から客が訪れる。生徒たちの指導に当たるのが、同クラブ顧問で同校教諭の村林新吾さん。
中嶋さんはオーナーシェフとして同店で包丁を握るほか、日本のシェフの力で日本の食文化を元気にしよう――と活動する一流シェフらで組織する「超人シェフ倶楽部」の会長も兼務する。同会は、食育普及や食料自給率向上を目指して学校給食に注目、小中学校の子どもたちにプロのシェフが作る「スーパー給食」を食べてもらう活動などに取り組んでいる。震災後の被災地にも「炊き出し給食」を提供した。
通常村林さんが教える調理実習の授業だが、この日は、中嶋さんが3年生の生徒15人に対して実践するプロの調理技術や感覚、心得などをわかりやすく丁寧に伝授した。
この日は、食料自給率向上をテーマに国産の米粉の利用を促進するために米粉を使った「揚げだし豆腐」「エビの天ぷら」「タイの変わりあら炊き」3品と、地産地消と郷土の食文化伝承をテーマに「ハマグリのお茶漬け」の1品を作った。食材はこの日の早朝、村林さんが直接市場で目利きし仕入れたこだわりの品ばかり。エビは天然の活(い)きクルマエビ約70匹を、タイは2キロ弱の天然マダイ5匹を、ハマグリは三重県桑名産約150個を使った。
中嶋さんは「(生徒たちが)高い技術を持っているので何も教えることがない」としながらも、「手間暇を惜しんではいけない。どうしてこの作業をしなければいけないか。その本質を見極めて調理しなければならない」と説いた。