陸上自衛隊明野駐屯地・航空学校(伊勢市小俣町)で10月30日、同地開設56周年・同校創立59周年を記念する航空祭が開催され、観衆約1万5,000人の目の前で幻のヘリコプターチーム「明野レインボー」がダンスを踊るような華麗な飛行を見せた。
純国産ヘリコプターOH-1(オメガ・ニンジャ)による飛行、陸自明野航空祭で
同祭観閲式では、東日本大震災で全航空機300機以上の飛行統制を行う最高責任者の任務に当たり、今年4月に就任した陸上自衛隊航空学校長兼明野駐屯地司令・陸将補の金丸章彦さんが、隊員207人、来賓約700人と大勢の観客の前で式辞を述べた。式が終了すると、航空自衛隊浜松基地からジェット機T-4、2機が祝賀飛行、同地所属のヘリコプター28機による総合編隊飛行や「明野レインボー」の高度な操縦技術を要する飛行が行われ、訪れた観衆を魅了した。
「明野レインボー」は、同校の操縦教官によって特別に編成され航空祭の日だけに現れる幻のチーム。観測ヘリコプターOH-1(オメガ)2機、OH-6D(オスカー)4機、戦闘ヘリコプターAH-64D(アパッチ)1機、対戦車ヘリコプターAH-1S(コブラ)1機の計8機により編成。今年は、昨年よりも1機増やし上空でのフォーメーション飛行などさらに高度な飛行技術を追求し、日ごろの訓練成果を披露した。同チームが最初に結成されたのは1972(昭和47)年、当時はオスカー3機だけだったという。
明野レインボーは、オスカーによるきれいなダイヤモンドフォーメーション、オメガ、コブラ、アパッチによる急上昇からの急旋回、8機が一列に並ぶホバリングなどを披露。明野レインボーの飛行を目の前で見た伊勢市在住の男性は「ヘリコプターがまるでダンスを踊っているようだ」と形容した。観測ヘリコプターとして同地で開発研究を繰り返す純国産ヘリコプターオメガは、高性能かつ機動性の高さを生かし敵のレーダーにも映らないような飛行で偵察することができるため別名「忍者(ニンジャ)」とも呼ばれている。「特に純国産のヘリコプターニンジャの滑空は、昨年よりもひときわ目立っていた」(同男性)とも。
観閲式では金丸陸将補が、国際社会におけるテロ・民主化運動・大規模自然災害、東アジアにおける北朝鮮や中国、ロシアとの外交問題、先の東日本大震災や台風12号、15号などの自然災害など、防衛はもとより大規模災害や国際平和協力活動などに対して迅速かつ実効性をもって対応しなければならないことを挙げ、航空科部隊の役割の重要性を説いた。また東日本大震災での昼夜を分かたぬ捜索・救援活動、離島や孤立地域への物資空輸、原発対応など、同地から航空機約40機、隊員約300人が出動したことを報告した。