年間1500回ほどの祭りが行われている伊勢神宮125社で12月15日~25日、最も重要な祭りの一つ「月次祭(つきなみさい)」が執り行われている。
10月の「神嘗祭(かんなめさい)」と、毎年6月と12月の2回の「月次祭」を「三節祭(さんせつさい)」と呼ぶ(期間は共に15日~25日)。
「由貴大御饌(ゆきのおおみけ)」と呼ぶアワビや伊勢エビ、タイなどが並ぶ豪華な食事を22時の夕(ゆうべ)と2時の朝(あした)の2回奉納。外宮(げくう)と内宮(ないくう)の正宮に約30品目、別宮に約20品目、そのほかの社には約15品目の新饌が伊勢神宮の125社全てに奉納される。12時には「幣帛(へいはく)」と呼ぶ皇室より送られた布などを奉納する「奉幣(ほうへい)の儀」が執り行われる。
伊勢神宮では、雨の日も風の日も嵐の日も、総選挙の日もただ淡々と、神恩に感謝し国家の繁栄と国民の幸福、平和への祈りを続けている。15日深夜は雨。伊勢神宮臨時祭主を務める黒田清子さん、鷹司尚武大宮司ほか神職らは、しんしんと静まり返る浄闇(じょうあん)の森を濡(ぬ)らす雨の中で、たいまつの明かりだけを頼りに和傘を差しながら粛々と祭典を執り行った。衆議院議員総選挙のあった16日には、外宮での奉幣の儀が、自由民主党の圧勝が報じられた同日深夜には、内宮で由貴夕大御饌、由貴朝大御饌が執り行われていた。
16日22時からの由貴夕大御饌を拝観した伊勢神宮崇敬会(伊勢市宇治中之切町)会員で東京都出身の八木佐知子さんは「まるで宇宙空間の中にいるような不思議な感覚」と深夜の祭典の様子を表現。南こうせつさん、伊勢正三さんの3人で活動し人気を博したフォークグループ「かぐや姫」の元メンバーでミュージシャンの山田パンダさんは16日に伊勢で講演を行い宿泊し、翌17日に神宮を参拝、内宮での奉幣の儀を偶然拝観した。「お祭りをご奉仕する黒田清子さまはとても神々しく、畏れ多く感じられ、自然と頭を垂れた。1年の締めくくりにとてもありがたい経験をさせていただいた」と感想を漏らした。
神宮境内には、大みそかの大かがり火(どんど火)や臨時の守り授与所の設置など初詣客を迎える準備が着々と進められている。