今年5月に開催される主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」について考える「第2回伊勢志摩サミットフォーラム」が1月16日、鈴鹿医療科学大白子キャンパス(鈴鹿市)で行われ、県民ら約600人が参加した。
ドン・キホーテグループインバウンドプロジェクト責任者でジャパンインバウンドソリューションズ(東京都江東区)社長の中村好明さんが「伊勢志摩サミットのレガシーを生み出す『おもてなし』戦略とは」と題した基調講演を行った。「レガシーは誰かの意志がなければ生まれない。シティーアイデンティティー・プライドを持たなければいけない」といい、それには世界に開かれたおもてなしの心、アフィニティ(同根性、親和性)の醸成、全地域での英語による接客、インバウンドにおける地域連携、MICE(Meeting、Incentive、Convention、Eventの4つの頭文字を合わせた言葉マイス)などが重要であることを強調した。
続いて三重県知事・鈴木英敬さんがコーディネーターとなって、元沖縄県サミット推進事務局長で現在東京外国語大学教授の山田文比古さん、ドイツ通信社東京支局長のラース・ニコライゼンさん、日本酒の「鈴鹿川」「作(ざく)」を作る清水清三郎商店(鈴鹿市)社長の清水慎一郎さん、鈴鹿市出身で外務省大臣官房報道課長・伊勢志摩サミット準備事務局を務める森川徹さんと中村さんの5人のスピーカーによるトークセッションが行われた。
山田さんは「沖縄はリトリート(隠れ家)方式で県民参加型を調和させた混合型で成功した。ボランティア600人も活躍した」と説明。ニコライゼンさんは洞爺湖サミットにプレスとして参加した経験から「おもてなしと共にフレキシビリティ(柔軟性)を。プレスセンターなどにフードスタンドやフードマップ、土産スタンドなどを作っては。古き佳(よ)き日本を見直そう。商業看板などが大きすぎる」と提案した。
清水さんは「『旨酒(うまさけ)』とは鈴鹿に掛かる枕詞(まくらことば)。三重は食材の宝庫。三重料理として形にして体験と感動を。料理の説明をできる人材育成を」。森川さんは「料理を提供するだけでなく、テロワール(産地の土壌や地形、気候、背景)の説明が重要」と訴えた。中村さんは金銭的な対価の「米仕事」と祭りやまちのボランティアに関わる「花仕事」を例に出しながら「米仕事と花仕事の両方ができる人材、日本酒づくりには欠かせない『糀(こうじ)』のような人材、醸(かも)す力を持つ人材の育成が大切」とまとめた。