
「食のまち多気町映画祭」のプレイベントが3月29日、複合商業施設「VISON(ヴィソン)」(多気町)内の「AT CHEF MUSEUM(アット・シェフ・ミュージアム)」で関係者を集めて開かれた。
スペインのバスク州サン・セバスチャン市で毎年9月に開催されている「サン・セバスチャン国際映画祭」に倣い、食の文化発信、「食のまち多気町」のPRのために映画祭を開催しようと計画する多気町とVISONの運営会社ヴィソン多気(同)。多気町は、2017(平成29)年1月にセバスチャン市と「美食を通じた友好の証し」を締結。サン・セバスチャン国際映画祭は、ヨーロッパではカンヌ、ベルリン、ベネチアに次ぐ規模の映画祭で、スペイン最大。カリナリーシネマ(食映画)部門がある。
「食のまち多気町映画祭」は、映画「踊る大捜査線」の監督を務める本広克行さんやプロデューサーの森谷雄さん、丸山靖博さん、脚本家の政池洋佑さんらがプロデュースする予定。
プレイベントの1部では、ヴィソン多気の立花哲也社長、本広監督、VISON内にもスイーツ店を開く辻口博啓シェフ、ドキュメンタリー映画「映画祭のつくり方」の尾野慎太郎監督が登壇。本広監督がディレクターを務めた「さぬき映画祭2013」の開幕までの舞台裏に密着した尾野監督の「映画祭のつくり方」を見ながら映画祭開催までのエピソードトークを行った。
2部では、画家サルバドール・ダリの住むスペインの海辺の街を舞台に、若き天才シェフによる革命的なレストランの誕生を描いたスペインの映画「美食家ダリのレストラン」を見ながら、映画のシーンで登場する料理やストーリーに沿った料理をそのシーンのタイミングに合わせて提供し、食事をするスタイルで進行。料理は、「HOTEL VISON」最上階のメインダイニング・バスク料理レストラン「IZURUN(イスルン)」の中武亮シェフと県立相可高校(同)食物調理科の生徒11人が調理した。
中武シェフは「『これが私のスープ』は映画に登場する絶品のブイヤベース。スペインカタルーニャ地方の郷土料理で、地中海産の魚介を使ったスペイン名は『サルスエラ』。次の『未来』は未来のシェフが作った料理という意味を込め相可高生が作った和食盛り合わせ。次の『ボッカディージョ』はスペインのサンドイッチ。スペインのバゲットは空洞が多くあるので、それを再現するためにパンの中身をくりぬいて、さらに音を立てて映画鑑賞の邪魔にならないように音を立てない工夫を凝らした。最後のデザートは辻口シェフが28歳の時にフランス菓子コンクールで初優勝した時に作ったスイーツ『セラヴィ!(これが人生)ピスタチオのアイスクリーム添え』。事前に映画を見て、本当にダリがレストランに来てくれたなら、とイメージして作った」と説明する。
本広監督は「映画を見ながら、おいしい料理が出てくるという斬新な挑戦だったが、薄暗い環境下での料理提供は、料理の見た目が全く分からないので、改善しなければいけないと思った」と感想を漏らす。立花社長は「今回は関係者だけのプレイベントだったが、映画祭開催に向けて進めていきたい」と意欲を見せる。