昨年12月、農林水産省主催の「郷土料理百選」に「伊勢うどん」が選ばれたのを機に、再び「伊勢うどん」に脚光が当たっている。中でも1945年創業の「つたや」(伊勢市河崎2、TEL 0596-28-3880)の「焼豚(やきぶた)伊勢うどん」は人気が高い。
柔らかく極太の麺と真っ黒なつゆが特徴の「伊勢うどん」は昔から伊勢の地で食べられていた。伊勢市麺類飲食業組合ではそれまで「並うどん」や「素うどん」と呼ばれていたものを、1972年に「伊勢うどん」に統一し、2003年には、本物の伊勢うどんを食べてもらおうと「伊勢うどんマップ」を作成するなどの活動成果が実り昨年12月、農林水産省主催の「農山漁村の郷土料理百選」に「伊勢うどん」が選ばれた。
「百選」に選ばれ「伊勢うどん」の知名度があがったこともあり、市内の店舗でも「伊勢うどん」の注文が増えている。手軽に家庭で食べられる土産用に商品化された「伊勢うどん」も、人気が高いという。
古い蔵が多く残る伊勢の河崎に店を構える「つたや」の店主・青木英雄さんは「作家の立松和平さん、歌手の藤井フミヤさん、俳優の梅沢富美男さんなどが『焼豚伊勢うどん』(600円)を食べ、その後のテレビ番組などで紹介してくれたおかげで注文が多くなった」と「焼豚伊勢うどん」の人気について説明する。「『焼豚』と『伊勢うどん』の組み合わせができた理由は、昭和35年ごろ、常連客の『二郎』さんが、焼豚の乗ったラーメンも食べたいし伊勢うどんも食べたい――と言うので先代が伊勢うどんの上に焼豚を乗せて出したのが始まり。その後常連客の間で『二郎うどん』と呼ばれて提供していたが、『二郎うどん』の説明が面倒になったので『焼豚伊勢うどん』と改名しメニュー化した」とエピソードも披露する。
青木さんは「伊勢うどんも大衆化し、市内でも提供する店が増えた。店によってもそれぞれ味が違うのでその違いを比べるのも楽しみのひとつになると思う。できれば昔ながらの本物の『伊勢うどん』を味わってほしい」と話す。
営業時間は11時~19時。日曜定休。
「郷土料理百選」に「伊勢うどん」と「手こね寿司」(伊勢志摩経済新聞)伊勢うどん「つたや」農山漁村の郷土料理百選伊勢市観光協会・伊勢うどん