
長野県上松町と岐阜県中津川市の国有林で伐採されたヒノキが6月9日・10日、多くの人の手を介してそれぞれ、伊勢神宮内宮(ないくう)、外宮(げくう)の五丈殿(ごじょうでん)まで収められた。
御神木が倒れる瞬間。3人が3方向から斧で伐採する「三ツ緒伐り」
伊勢神宮の社殿や神宝などを20年に1度新しくする式年遷宮で、ご神体を納める器を奉製するためのヒノキ「御樋代木(みひしろぎ)」を伐採するため、6月3日、長野県上松町で最初に御用材切り出しの安全を祈る「御杣始祭(みそまはじめさい)」が行われた後、樹齢約300年のヒノキの天然木2本(内宮用と外宮用)を、3人の杣人(そまびと)が斧(おの・よき)を使い3方向から斧を入れながら伐採する古式の伐採方法「三ツ緒切り・三ツ紐(ひも)切り」で行った。続いて同5日に岐阜県中津川市で「裏木曽御用材伐採式」でも同様に110年前に人の手によって育てられたヒノキ2本が切り出され、それぞれ予備木1本を合わせた計3本が新車のトラックに積み込まれ、長野、岐阜、愛知、三重の木曽川沿いの神社を中継しながら、各地で奉迎・奉送行事に大勢の人が参加し、伊勢まで運びこまれた。
9日には五十鈴川から内宮まで運ぶ「川曳(かわびき)」で神宮式年遷宮造営庁の職員らによる「官曳(かんびき)」で内宮の五丈殿まで、10日には宮川・度会橋東詰から陸路で外宮まで運ぶ陸曳で伊勢市民(=神領民)らによる「陸曳(おかびき)」で、外宮の五丈殿まで曳き入れられ、「御樋代木奉曳式」が行われた。
御樋代木は、内宮と外宮にそれぞれ3本(正宮1本、別宮2本)計6本、長さ6.6メートル、末口48センチ、重さ約1.5~2トン。長野県上松町の木曽谷国有林と岐阜県中津川市加子母の裏木曽国有林で伐採されたヒノキは、桑名市の桑名宗社(桑名神社・中臣神社)で合流し、同9日に内宮用と外宮用に積み替えられ伊勢まで陸送された。