伊勢志摩の森林管理などを行う「ODAWA創林(おだわそうりん)」(鳥羽市松尾町)が4月、森林の再生のために切り出した間伐材と煙突付きかまどストーブをセットにした防災用品「いのちをつなぐ防災薪(まき)セット」の販売を始めた。
同社は、森の間引きや間伐、雑木林の再生利用などが主な事業。社長の小田和人さんが「年々鳥羽の海の環境が悪化していくのを見ていて、何とかかせねば――」と奮起。「海と森とは密接な関係を持っている。森の再生が急務だと気づき、森の価値を創造し、森と海と人と動物が共存して生きられる社会を構築していくことを目的に会社を設立した」と打ち明ける。
同商品は、間伐材の有効活用を考えていた際に東日本大震災が発生。「被災者が寒さを防ぎ、煮炊きができるかまどストーブとのセットを思いついたのが販売のきっかけ」と小田さん。間伐した木には伊勢志摩の海岸付近に多く自生するウバメガシなどの広葉樹を入れた。ウバメガシは火持ちがよく、火力が安定した備長炭の材料として重宝されている。
小田さんは「生産性が低く、放置されていた森林を間伐整備することで若芽(ひこばえ)が育ち、森をよみがえらせ、川や海に栄養豊富な水を供給する。防災薪セットは、森林の間伐整備で生まれた。環境を守りながら命も見守る商品」と胸を張る。
同セットは、ウバメガシを含む広葉樹と針葉樹を混ぜた薪約10キロ、軍手、マッチ、着火剤が入った段ボール箱5箱、かまどにもなる煙突付き薪ストーブを付けた。価格は2万4,800円。