伊勢神宮の祭典などで使う米を栽培する神宮専用の水田「神宮神田」(伊勢市楠部町)で5月11日、早苗を植える「神田御田植初(しんでんおたうえはじめ)」が古式ゆかしく執り行われた。
同祭は、地元楠部町の「神宮神田御田植祭保存会」の会員が中心となって奉仕。その起源は鎌倉時代から行われていたと推定され、一時中絶されたが1889(明治22)年に神田を再興し、1924(大正13)年に御田植行事も行われるようになった。
この日は水田に潤いを与える恵みの雨が朝から降り、同会の奉仕員は笛や太鼓を鳴らしゆったりとした田楽の音色を聞きながら、子持帷子(かたびら)に烏帽子、青いたすき姿の男性10人と、菅笠に白衣、赤いたすきをかけた女性10人が1列に並び、「イセヒカリ」の早苗を水田に植えた。米は今年9月に収穫され、式年遷宮の儀式などで使う予定。
早苗を植え終わると、手に竹扇を持った男性10人が東西に整列し、「ヤア」と掛け声を掛け合いながらイナゴを払う動作を行う。水田の中では大黒と恵比寿の絵が描かれた大団扇(ごんばうちわ)を持った2人が団扇合を行いながら3回まわり、豊作を祈った。