伊勢神宮の祭典などで使う米を栽培する神宮専用の水田「神宮神田」(伊勢市楠部町)で5月10日、「神田御田植初(しんでんおたうえはじめ)」が行われた。
地元楠部町の「神宮神田御田植祭保存会」のメンバーらが中心となって奉仕する同祭は、鎌倉時代から行われていたと推定される。一時中絶していた時もあったが1889(明治22)年に神田を再興し、1924(大正13)年から御田植行事も行われるようになった。
初めに2人の奉仕員が早苗を3列植え、次に保存会の人たちが子持帷子(かたびら)に烏帽子、青いたすき姿の男性10人と、菅笠に白衣、赤いたすきをかけた女性10人が1列に並び田植えを開始。その間、笛や太鼓を田楽演奏し、その音色に合わせながらリズムを取って作業を行う。
早苗を植え終わると、手に竹扇を持った男性10人が東西に整列し、「ヤア」と掛け声を掛け合いながらイナゴを払う動作を行う。水田の中では大黒と恵比寿の絵が描かれた大団扇(ごんばうちわ)を持った2人が団扇合を行いながら3回まわり、豊作を祈った。
米は今年9月に収穫され、神嘗祭(かんなめさい)などの祭典の神饌として、酒や餅用の原料として使われる。