伊勢神宮内宮(ないくう)で毎年恒例の秋の神楽祭(9月22日~24日)が行われいる。秋分の日に当たる23日、神苑(しんえん)に設けられた特設舞台で「迦陵頻(かりょうびん)」の演舞が始まるのを待っていたかのように上空でタカが舞い、鷹柱(たかばしら)を作るシンクロが起こった。
舞台前には参拝客や神楽祭目当ての人が詰め掛け、舞台では雅楽に合わせて華やかな装束をまとった舞人たちが「迦陵頻」のほか「振鉾(えんぶ)」「抜頭(ばとう)」「長慶子(ちょうげいし)」の計4曲を披露した。「迦陵頻」は、上半身が人で下半身が鳥の姿をし、美しい声を持つという想像上の生き物「迦陵頻伽(かりょうびんが)」が舞う様子を表現した演目。
その場に居合わせた写真家のKankan(カンカン)さんは鳥の生態にも詳しい。この日は神楽祭の撮影のため同舞台前で待機していた。「タカが神宮の真上を通過したところを見ることができたというのは、相当縁起がいいと思う。しかも神楽の演目が『迦陵頻』という鳥の舞。鳥の舞楽の時に、タカが神宮上空を通過するというシンクロに、またしても神を感じた。さらに鷹柱まで見ることができるなんて、感動」と話す。
神宮上空を東から西に飛んで行った個体は全部で16羽。サシバとハチクマの2種類を確認。うち7羽が、舞台の後ろに見える鼓ヶ岳(標高約355メートル)上空で上昇気流に乗り旋回し、小さな鷹柱を形成した。
Kankanさんは「このサシバは今がちょうど渡りのシーズンで、伊良湖などではホークウォッチングをする人も多く、鳥好きの間では人気のタカ。たぶん朝一で伊良湖を通過して群れだったのでは。思わず、神楽を撮るために用意した200-400ミリの望遠レンズで撮影したが、さすがに高度があり過ぎた」と漏らす。