雲ひとつ無い真っ青な空が広がる10月19日、陸上自衛隊明野駐屯地・航空学校(伊勢市小俣町)でヘリコプターの祭典とも呼ばれる「航空祭」が開催された。新生の「明野レインボー」による初飛行や謎の「全身白男」の出現、ヘリ型バイク「ハヤテジュニア」によるデモ飛行ならぬデモ走行などで会場は大いに盛り上がった。
駐屯地開設59周年・航空学校創立62周年記念となる同祭。昨年は雨天のためヘリコプターによる飛行展示が中止されたが、今年は快晴の上風も穏やかで安定した天気となったため、予定していた飛行展示全てが計画通りに行われ、約2万人の人出で大きなにぎわいを見せた。
今祭一番の目玉は、同航空学校の操縦教官によって結成される幻の飛行チーム「明野レインボー」による飛行展示。同チームのデビューは1972(昭和47)年、観測ヘリコプターで航空学校の練習機OH-6D(オスカー)3機によるものだった。昨年から同校の練習機がオスカーからブルーカラーのヘリコプターTH-480B(タンゴ)に切り替わったため、昨年の同祭でタンゴによる新生の「明野レインボー」がデビューを飾るはずだったが、雨天だったため本当の幻となっていた。
新生「明野レインボー」の編成は、TH-480B=5機、観測ヘリコプターOH-1(ニンジャ)=2機、対戦車ヘリコプターAH-1S(コブラ)=1機、戦闘ヘリコプターAH-64D(アパッチ)=1機、同UH-60JA(ブラックホーク)=1機の計10機。タンゴによる編隊飛行は、「エシュロン(斜め一線)」「アローヘッド(矢印)」「Vの字(傘型)」などの形を次々と決め、青空に美しい形が描かれた。
「明野レインボー」による飛行展示のほかにも、航空自衛隊浜松基地からジェット機T-4、2機による祝賀飛行、岐阜基地からF-2とF-15戦闘機による飛行展示、同駐屯地ヘリコプター23機による編隊飛行、空挺(くうてい)部隊によるパラシュート降下など約2時間に亘る展示に、観客は息を飲み続けた。
航空機支援車両(ヘリコプターけん引車、航空電源車、燃料タンク車、救難消防車)を紹介するデモンストレーションでは、全身を白の衣装でまとった謎の「全身白男」4人が現れ、来場者の笑いを誘いながら同車両をわかりやすく紹介した。コブラやニンジャを模したヘリコプター形の改造バイク5機(台)による編成部隊「ハヤテジュニア」も初デビューし、会場を沸かせた。
このほか、輸送ヘリコプターCH-47JA(チヌーク)への体験試乗やフライトシミュレーターやナイトビジョンゴーグルなどの体験、中部方面音楽隊による演奏、自衛隊員による模擬店などもあり、来場者たちは大いに楽しんだ