伊勢志摩国立公園内の静かな五ケ所湾の海辺に建つ伊勢現代美術館（度会郡南伊勢町、TEL 0599-66-1138）で現在、「稲垣考二自選展」が開催されている。

伊勢現代美術館で稲垣考二自選展

　1952年名古屋市生まれの稲垣さんは、愛知県立芸術大学大学院卒業。1976年国展で新人賞、中部国画賞を受け、伊藤廉記念賞（1984年）、現代の裸婦展で優秀賞（1986年）、東京や名古屋を中心に個展を開いている。現在、国画会会員、名古屋造形大学洋画科非常勤講師。

　細密描写が得意な稲垣さんの作品は、油絵のほかデッサンなどを入れた計17点。500号の「胸像」は高さ約3メートルの大作。割れた鏡の中に1人の女性の一生の時間軸を一枚の絵の中に描いた「月日」（2013年）、「切断」（1993年）と「接合」（1995年）などを展示する。3月1日まで。

　昨年2月に急逝した彫刻家の住谷正巳さんは、1936年群馬県出身。1963年に日本大学芸術学部彫刻科を卒業。全国各地の公園や学校などに30点以上のパブリックアートを残した。同館の野外にも3点が展示されている。

　同館別館の「宇空」で展示されている「住谷正巳遺作展」は、アルミやステンレスなどのメタリック素材を使った彫刻で、自作したボルトやネジなどを使って子どもやヘビ、泣く女などを表現した作品が並ぶ。1月25日まで。

　同館2階展示スペースでは、「伊藤晴香（せいこう）展 ヒカリノホウへⅢ」も同時開催。芥川龍之介の「蜘蛛（くも）の糸」をビジュアル化した「Spider Silk（スパイダーシルク）」などを展示する。1月25日まで。

　開館時間は10時～17時。火曜・水曜休館。入館料は、一般＝500円、高･大学生＝400円、小･中学生無料。