近畿日本鉄道(以下、近鉄)の人気列車「しまかぜ」の全3編成が5月28日、真珠いかだ浮かぶ英虞湾のほぼ中央に位置する賢島にある発着駅「賢島駅」(志摩市阿児町)に勢ぞろいした。
「しまかぜ」は2013年3月、伊勢神宮式年遷宮に合わせ伊勢志摩の地域活性化の起爆剤として導入した6両編成の新型観光特急(全138席)で、当初大阪難波と名古屋からそれぞれ水曜日を除く1日1往復していた。昨年10月に京都便を1編成増備し現在は全3編成で運行している(運休日は大阪難波=火曜、京都=水曜、名古屋=木曜)。昨年3月には天皇皇后両陛下が伊勢市を訪問する際に「お召し列車」として、同7月に皇太子ご一家が伊勢神宮参拝の際の帰りの列車に「しまかぜ」が採用された。さらに同年、1年間に国内で運行された新型車両や改造車両から優秀と認めた車両に選ばれる「ブルーリボン賞」を受賞。現在、受賞記念ステッカーを車体にラッピングして運行している。
3編成が賢島駅に勢ぞろいするのは、近鉄が鉄道ファン向けに企画した日帰りツアー「『しまかぜ』に乗って『しまかぜ』3編成並びを撮ろうツアーin 賢島駅」に合わせたもの(名古屋駅10時25分発、賢島駅12時26分着、賢島駅15時40分発、参加料金=大人1万1,600円、子ども7,610円)。運休日の名古屋便を同ツアー用に臨時列車として走らせたことで実現した。ツアー特典として、参加証明書、しまかぜ専用運転カード、特製缶バッジ、特製マグネットが付き、昼食にはツアー限定の特別掛け紙付き特選牛肉弁当が用意された。
通常、賢島駅にしまかぜ2編成が同時に並ぶ光景は毎日のことで珍しくないが、3編成が一度に並ぶのはこの日だけとあって、ツアーには鉄道ファンら約110人が参加した。近鉄広報の福原稔浩(としひろ)さんは「わざわざ大阪や横浜から参加していただいた人もいる」と打ち明ける。「しまかぜは乗ることがとても楽しい列車なので、みんな満足してくれたようだ」とも。
名古屋からの参加者は「ブルーリボン賞のラッピングが順次外されるようなので、ブルーリボン賞のマークの入った3編成が同時に並ぶのは、今回が最初で最後になるだろう」と説明。参加者だけが入場できるホームでの撮影など多くの人が、興奮した様子でツアーを楽しんでいた。
志摩に吹く風のさわやかさをイメージし、伊勢志摩地域へ新しい風を呼び込みたいという思いで命名したという「しまかぜ」。現在、賢島が日本が議長国となる来年の「主要国首脳会議(サミット)」の候補地の一つに挙げられている。「しまかぜ」が、「賢島に決定」となる風を吹かせるだろうか…。
各駅から賢島駅までの大人運賃は以下の通り。大阪難波=4,950円(普通運賃=2,310円+特急料金=1,610円+しまかぜ特別料金=1,030円)京都=5,560円(同2,530円+同1,900円+同1,130円)名古屋=4,610円(同1,970円+同1,610円+同1,030円)。