伊勢市内に住民票を置く数え年で80歳以上の高齢者は毎年、伊勢神宮から長寿を祝ってもらえる特権を持つ。
伊勢神宮は毎年5月下旬、伊勢市に住む高齢者を対象に、いつまでも健康で長生きしてもらえるようにと祈願する「延寿大々神楽(えんじゅだいだいかぐら)」を神楽殿で行っている。今年は5月27日・28日の2日間行われ、対象者は昨年よりも454人多い1万4702人。お守り、紋菓、湯飲みの記念品のほか、今年80歳を迎える1505人には御用材のヒノキで作られた「延寿杖(えんじゅつえ)」も贈られた。
今年の陶器製湯飲みには、高城治延少宮司が揮毫(きごう)した「怡心(いしん=心を喜ばせるという意味)」の文字が添えられている。長さ約120センチの延寿杖には、神宮司庁職員が1本1本心を込め丁寧に押した「神宮」の文字の焼き印も。「延寿大々神楽」は1949(昭和24)年に第1回が行われ、今年で67回を数えた。
91歳の出口ヤスさん(村松町)は、宇治橋から神楽殿まで往復で1キロ以上の距離を自力で歩いてきた。「耳は遠くなったが、毎年招待いただけるのがとても楽しみ。湯飲みも10個以上になるが、名古屋の親戚らが伊勢神宮から頂いたものだというと、ありがたがってくれるので何個かあげた。今年もこうして伊勢神宮に来ることができてうれしい」と話す。
今年の最高齢者は、女性が1905(明治38)年生まれで111歳の亀田つやさん(鹿海町)、男性は1909(明治42)年生まれで107歳の藤原留五郎さん(西豊浜町)。