海水温と気温の温度差が大きくなると現れる自然現象「ダルマ朝日」が9月5日5時31分、志摩市から鳥羽市の東向きの海岸付近で観測された。
民芸品のダルマの形に似ていることからダルマ朝日(太陽)と呼ばれる同朝日は、大気と海面の温度差によって海面近くの大気の層がレンズの役割をして屈折し、もう一つの太陽が映る現象のこと。オメガ(Ω)の形に似ていることからオメガサン、伊勢志摩地方では真珠を作るアコヤ貝の形のようにも見えることからアコヤ太陽と呼ぶ人もいる。ダルマ朝日はなかなか見ることができないため「見ると幸せになれる」と言われている。
温度差の少ない夏場にはほとんど見ることができないため、ダルマ朝日が観測できるということは気温が下がっていることを示しているため、夏から秋に季節が変わったことを物語る。
撮影したのは、今年3月に大きなリンゴ形の朝日を撮影し話題を集めた志摩市阿児町志島在住・志島小学校(志摩市阿児町)教頭の向井正明さん。この日の早朝は肌寒く、気温が下がっていることが体感できるほど。直線距離で200キロ以上離れた位置にある富士山も薄っすらと観測することができた。
向井さんは「新学期が始まってすぐ、富士山とダルマ朝日を見ることができてとても幸せ。文化庁の『文化芸術による子どもの育成事業』の一環で、9月15日に『志島っ子寄席』を志島小学校で実施する。その事業で子どもたちと『南京玉すだれ』をするのだが、『ちょいと伸ばせば、ちょいと伸ばせば、だるま朝日にさも似たり』と練習しているところだった。それが引き寄せたのかも知れませんね(笑)」と話す。