三重のローカル季刊誌「NAGI(凪)」63(冬)号で、天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祭る「神宮」を伊勢に創建した「倭姫命(やまとひめのみこと)」を特集している。発行は「月兎舎(げっとしゃ)」(伊勢市馬瀬町)。
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「伊勢神宮」。正式には「神宮」が五十鈴川のほとり、今の地に建ったのはおよそ2000年前。
第10代崇神(すじん)天皇即位から5年、それまで天照大御神と倭大国魂神(やまとのおおくにたまのかみ)を皇居内で祭っていたが国中に疫病が蔓延し国内情勢が不安になった。2神に平安を祈ったが事態が収束しないので皇居内に2神を祭るのが良くないのではないかと考えた天皇が皇女・豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)に託して外へ遷(うつ)すことを決断。神遷しの結果、平安が戻ったという。
天皇から託された豊鍬入姫命は、天照大御神を祭るのに最適地を求めて各地を転々とした。その後第11代垂仁天皇の皇女・倭姫命が引き継ぎ、さらに各地を転々とした後、ある時天照大御神からの神託を受け、伊勢の地を鎮座地に定めたとされる。
同書では、豊鍬入姫命と倭姫命が旅した巡幸地の神社「元伊勢」などを紹介。倭姫命について「大和国における倭姫命の御巡幸地」として8ページを割いて神宮司庁広報課係長の音羽悟さんが解説している。
編集人の坂美幸さんは「特集では804(延暦23)年の『皇太神宮儀式帳』に記された巡幸地『元伊勢』を訪ね、なぜ伊勢の地が選ばれたのかを考察する。リニューアルされた『神宮徴古館(ちょうこかん)』(伊勢市神田久志本町)や日本遺産に認定された『斎宮(さいくう)』(多気郡明和町)も合わせて紹介。神宮に再び目を向けていただくきっかけになれば」と話す。
価格は、700円。三重県内の書店などで発売中。