三重が舞台として登場する津原泰水さんの小説「エスカルゴ兄弟」(角川書店)が8月5日、全国で出版された。
伊勢うどん店の娘に恋をする讃岐うどん店の次男が、松阪市産エスカルゴの料理を提供する東京・吉祥寺の飲食店「スパイラル」立ち上げに奮闘する姿を描いた同作。
カメラマン「雨野秋彦」の実家は吉祥寺にある立ち飲み屋「アマノ」。出版社勤務だった讃岐うどん店の次男「柳楽尚登(なぎらなおと)」はリストラされ、天野と共に店のリニューアルオープンを目指す。新しい店「スパイラル」のメイン料理はエスカルゴ。そこで、エスカルゴを養殖する三重県の松阪市にある「エスカルゴ・ファーム」を見学に行くが、伊勢で立ち寄った伊勢うどん店の娘「榊桜(さかきさくら)」が仏の女優ソフィー・マルソー似の美女だったことから柳楽の人生が変わっていく。榊に恋をし、「スパイラル」の料理人として仕事をしていくことに…。
「エスカルゴ・ファーム」は実際に松阪市にある今も世界で唯一のエスカルゴ(ブルゴーニュ種・ヘリックス・ポマティア)の完全養殖に成功した「エスカルゴ牧場」(松阪市曲町)がモデルとなっている。
広島県出身、「ブラバン」(新潮社)などのベストセラーを持つ津原さんは、同作の執筆にあたり伊勢神宮外宮(げくう)や「エスカルゴ牧場」などを視察したという。
「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」を務める松阪市出身のコラムニスト石原壮一郎さんは「伊勢うどん店の娘に恋をする讃岐うどん店の息子の物語を誰か書かないかな?とずっと念じていた。この本が出版されて本当に念が通じたと思った(笑)。両市にとってもチャンスだと思うので、竹上真人松阪市長や鈴木健一伊勢市長にもぜひ読んでいただきたい」と話す。
「伊勢うどんやエスカルゴはもちろんだが、小説の中に登場する伊勢うどんとエスカルゴを使ったメニュー『ウドネスカルゴ』も食べたいと思った。もしドラマ化、映画化が決まったら俳優として伊勢うどん屋のおやじ役でソフィー・マルソー似の美人女優(できれば堀北真希さん)と共演したい」とも。
価格は1,782円。