二見興玉神社(伊勢市二見町)の夫婦岩(めおといわ)の真ん中から10月18日、オレンジ色の月が現れ、美しい光景が目の前に広がった。
16日の満月から少し欠けたがそれでもまん丸の18日の月が19時14分ごろ、答志島の島影から顔を出した。19時32分ごろには夫婦岩の上に浮かぶ雲が、竜かヘビのような形に変化し、その後月を丸飲みして食べた。
同神社は、日本神話「天孫降臨」でアマテラスの孫にあたるニニギの道先案内を行ったサルタヒコを祭り、境内には天の岩戸もありアメノウズメを祭る。夫婦岩の真ん中からは毎年、夏至前後に朝日が、冬至前後に満月が出る。境内社の龍神を祭る「竜宮社」では、津波の教訓をいつまでも忘れないように「郷中施(ごじゅうせ)」という神事が毎年執り行われている。
ポケモンGOがダウンロードできるようになってからは、仮想空間内の同神社周辺にポケストップが何カ所か設置されたり、レアポケモンが多く出没するうわさが一気に広がったため、スマホ画面を見ながらプレイする「ポケモントレーナー」が昼夜を問わず来るようになった。
この日その場に居合わせたポケモントレーナーたちは30人以上。2~3人が夫婦岩と月の共演するその美しくもユーモアな風景に気付いたものの、ほとんどのポケモントレーナーはポケットモンスター探しに夢中で無関心だった。
現在、同神社周辺ではポケモントレーナーらによるポイ捨てゴミなどのマナー違反が増加しているため、同神社は仕方なくポケストップの設定を削除するようにナイアンティック(東京都港区)に要請している。
カメラで月を撮影していた男性は「こんなにきれいな景色を見ずに小さな液晶画面の世界に夢中になっている人たちが不思議でならない。ポケモンGOで外に出る人が増えてリアル世界にも人が集まるようになるので素晴らしいとニュースでは言っていたが、少なくとも今いるこの人たちは景色を見ていないし神様に手を合わせている人はほとんどいない。何が良くて悪いのかはわからないが…」と首を傾げる。