2008年1月、流木を抱き枕にして寂しい夜を過ごしていた鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽3、TEL 0599-25-2555)の人気者、トドの「ロゼ」が7月1日、待望の赤ちゃんを出産した。ロゼの恋物語第1章が完結した。
赤ちゃんは、体長約100センチ、体重約18キロのメス。父親は2007年12月15日におたる水族館(北海道小樽市)からやってきた「キンタ」。ロゼの恋物語は、キンタがやってきた翌2008年1月から始まった。
ロゼは2004年12月27日、鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)からやってきた「養女」。2008年1月、同館にやってきたオスのキンタの声を壁越しに聞き、ロゼは恋に落ちたのか、流木をキンタと思い、遊んだり、寝たりするときには抱き枕にしながら、まだ見ぬ恋人キンタを思いながら寂しい朝を迎えること約1カ月。そして同2月8日にキンタと初対面。ロゼもキンタも恋に落ち、愛をすくすく育んでいた。
そうしたラブラブな日々を過ごしているところに同7月3日、ロゼよりも若い「柚子(ゆず)」(メス)が大分マリンパレス水族館うみたまご(大分県大分市)からやってきた。その日から、ロゼと柚子の恋の火花が水槽の中で散ることになった。キンタは若い柚子に一目ぼれし、ロゼのことを見向きもしなくなってしまった。最愛の恋人を柚子に取られてしまったロゼは、仕方なく再び流木とひとり遊びをする日々に。複雑な三角関係をロゼはけなげに受け入れた。
そんな三角関係の中、昨年2月に宮島水族館(広島県廿日市市)から「キュータロー」(オス)と「コマチ」(メス)のカップルが入居。ロゼだけがいつも蚊帳の外で2組のカップルをいつも見守っていた。
しかしながら同館飼育員が昨年7月2日、ロゼとキンタの交尾を確認していた。このほどキンタとの愛が実り、「待望の赤ちゃん誕生」のニュースとなった。現在は赤ちゃんとロゼを隔離しているが再び親子が同じ水槽の中で生活するようになるときに再び何かが起こるかもしれない。きっとそのときがロゼの恋物語第2章の始まりになる。