田を耕す鍬を作るところから始め、種をまく神事「神田下種祭」-伊勢神宮神田で

田を耕す鍬を作るところから始め、種をまく神事「神田下種祭」-伊勢神宮神田で

田を耕す鍬を作るところから始め、種をまく神事「神田下種祭」-伊勢神宮神田で

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 伊勢神宮の神宮神田(伊勢市楠部町)で4月5日、1年の耕作始めの儀式「神田下種祭(しんでんげしゅさい)」が古式にのっとって行われた。

鍬を振り下ろす所作を行う山口剛作長「神田下種祭」で

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 まず田を耕す道具である鍬(くわ)を作るための祭りが行われる。神田奥にある「忌鍬山(ゆくわやま)」のふもとにある山口祭場で山の神に、鍬がうまく出来上がるように祈る「山口祭(やまぐちさい)」を行い、その後山頂まで登り木の神に鍬の柄となる木を切ることの許しを請う「木本祭(このもとさい)」を行う。鍬の柄は櫟樫(いちいがし)の木を切って作る。かつては鍬山神事とも呼ばれていた。

 鍬を作るのは童男(どうなん)が行い、童男役には、地元楠部町から選ばれた皇学館中学1年生の三井竣太さんが務めた。

 鍬が完成すると奉仕の禰宜(ねぎ)以下役目の人々は、「まさきのかづら」と呼ばれるテイカカヅラのつる草を円形に編んで烏帽子(えぼし)に飾り下山し、神田の祭場に整列する。

 祭場には神饌(しんせん)を供え田の神を祭り、続いて神田を管理する作長の山口剛さんが、鍬を受け取り、鍬を振り下ろす所作を行う。その後白装束をまとった神宮職員2人が水田に入り、「忌種(ゆだね)」と呼ばれる清浄なもみ種をまく。その時、古来より歌い継がれている御田歌(みたうた)「天鍬(あめくわ)や 真佐岐(まさき)の蔓(かづら) 笠にきて 御田(みた)うちまつる 春の宮人(みやびと)」を唱和する。

 神事には、鷹司尚武大宮司をはじめ、神宮関係者や地元住民や農業関係者ら約80人が参列した。童男を務めた三井さんは「昨日から伊勢神宮に泊まって神事に臨んだ。実際に鍬を作るために山に入り、木を切った。何度も練習した。緊張した」と感想を漏らした。

 神宮神田の総面積は、約10ヘクタール、神田の作付面積は約3ヘクタール。神田には神宮の祭典で使う新米のほかもちや酒の原料用に、チヨニシキ、キヌヒカリ、イセヒカリの3種類のうるち米とアユミモチ、カグラモチの2種類のもち米、合計5品種の米を年間約14トン作付けする。育った苗は、5月7日の「神田御田植初(おたうえはじめ)」で水田に植えられる。

 伊勢神宮内宮外宮では東日本大震災発生翌日から毎朝、両神楽殿において被災地の1日も早い復興と被災者の人々の安寧を祈る「復興祈願祭」が続けられている。同時に義援金募金箱も両宮に設置されている。

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