東日本大震災発生後、被災地へ中古漁船を送り続ける「べかプロジェクト」(世話人=北村裕司さん)が旧暦の元旦に当たる1月23日、被災地のワカメ漁業者に代わって復興の一歩を踏み出したことを伊勢神宮外宮へ報告、水揚げされたばかりで入札前の三陸ワカメを伊勢神宮外宮へ奉納した。
この日は同プロジェクトメンバーのほか、日本わかめ協会(東京都杉並区)、三重県漁業協同組合連合(津市)、ワカメ業者など14人が参加。ワカメが水揚げできたことを産業の神、食をつかさどる神・豊受大神(トヨウケノオオカミ)に報告、三陸ワカメ約30キロと三重県産ワカメ約10キロを神楽殿に奉納した。
震災後、同連合会は中古漁船50隻、同プロジェクトは24隻を被災地の漁協へ、海上の安全や豊漁を願う同神宮のお札「海幸大麻」と共に送り続けた。同協会の岩崎誠会長は被災地の漁業者を代表して「漁船のほかにも物資面、精神面で救われ、とても感謝している。さらなる復興を目指して頑張りたい」と代弁した。
震災前は全国の75%のシェアを占めていた三陸産ワカメ。岩手県宮古市の重茂(おもえ)漁協では震災前約4000トンと最多だった漁獲量は約2000トンにまで減少すると見通しているほど。岩崎会長は「震災で約9割の船が流された。6月にはどうにか養殖ワカメの種付け作業を終え(例年の6割)、これから収穫作業のピークを迎えようとしている。しかしながら現地では加工工場も被災しているため、どれだけのワカメが出荷できるかわからない。例年の5割を越えれば」と期待を込める。
同連合会の永富洋一会長は「被災地からの要望があれば、これからも中古漁船を送り続けていきたい。少しでもお役に立てれば」と話す。同プロジェクトの北村さんは「被災地の漁業者は、今回ワカメの収穫で忙しいため参加できなかったが、復興の第一歩を報告できたことは多くの人に勇気と元気を与えるはず。これからも引き続きできることでお手伝いできれば」と漏らす。