伊勢神宮の第62回式年遷宮行事の一つ「立柱祭(りっちゅうさい)」が3月4日、内宮の新しく建て替えられる(現在の正殿西隣)「新御敷地(しんみしきち)」で厳かに執り行われた。小工(こだくみ)と呼ばれる宮大工の打つ木づちの音が神域の森の中に「トン、トン、トン」と響き渡った。
同祭は、2005年5月2日の「山口祭(やまぐちさい)」から始まった、20年に1度神宮の社殿など新しく建て替える「式年遷宮」行事の13番目に当たる祭典で、新しい御正殿の御柱(みはしら)を立てる祭り。古来より重要な祭りとしてその日時は天皇陛下により定められる。20年前は内宮が3月11日、外宮が同13日だった。
鷹司尚武大宮司をはじめ神職ら40人、神宮式年造営庁の技術総監や小工、技師ら25人が参加。建築の神様「屋船大神(やふねのおおかみ)に神饌(しんせん)を供え、祝詞(のりと)が奏上されると一同が八度拝の作法で拝礼した。次に昔ながらの素襖烏帽子(すおうえぼし)姿の小工8人が2人ずつ4組に分かれ、南北の中の御柱4本を、続いて東西の中央の御柱2本、さらに東西の両隅の御柱4本計10本を木づちでそれぞれ3度打ち固めた。
同祭は、「皇太神宮儀式帳」(804年)にも記され、平安初期のころにはすでに行われていたと考えられている。
この日の午後からは、御正殿の東西の妻の束柱(つかばしら)に丸い形の穴を開ける祭典「御形祭(ごぎょうさい)」が行われた。3月6日の外宮「立柱祭」が終わると、今度は「上棟祭(じょうとうさい)」が、3月26日(内宮)、同28日(外宮)に執り行われる。