20年に1度、伊勢神宮の社殿や宝物などを一新する行事「式年遷宮(しきねんせんぐう)」を来年に控え、内宮正殿の「上棟祭」が3月26日、新しく建つ敷地「新御敷地(しんみしきち)」で行われた。
上棟祭とは、屋根の一番高いところの棟木を組み、建物の骨組みが組み終わる時に「棟や梁(はり)が緩まないように、動かないように」と祈願する祭りのことで、一般的に「棟上げ」「棟上げ式」もしくは「建前」「建舞(たてまい)」などと同じ意味合いを持つ。3月4日に執り行われた「立柱祭」と共に重要な祭りとして天皇陛下が日時を定める。
上棟祭は、正殿の中心「心御柱(しんのみはしら)」から「瑞垣(みずかき)御門」までの距離が正しいか測量する「丈量(じょうりょう)の儀」、棟上げの儀式「上棟の儀」、建築の神様に祈願する「屋船大神(やふねのおおかみ)を祭る儀」から成る。
「上棟の儀」では、新正殿の屋上に弓・矢、中央に白幣が飾られ、鷹司尚武大宮司はじめ神職と技術総監以下造営庁の職員が東西に分かれて、棟木に結びつけられた2本の白い布綱に両手を掛け、技師2人が榊(さかき)を左右左と振り声高く「オー」と唱(とな)えると、後ろの小工(こだくみ)と呼ばれる宮大工が「千歳棟(せんざいとう)」と唱え、それを受け屋上で小槌を持って控える小工(こだくみ)2人が「オー」と応じ棟木を力強く打った。続いて「萬歳棟(まんざいとう)」「曳々億棟(えいえいおくとう)」と繰り返し、最後に屋上の小工が西北に向かってそれぞれ3回餅をまいた。
同祭に奉仕した小工の小崎昌也さんは「緊張したがすがすがしくご奉仕させていただいた。新宮の無事完成とともに、世の中が平和でありますようにと願いを込めた」と話す。
正殿は、屋根のカヤを葺(ふ)く「檐付祭(のきつけさい)」が5月に、屋根を葺(ふ)き納め千木(ちぎ)や御形短柱(ごぎょうづか)などに飾り金物を取り付ける「甍祭(いらかさい)」が7月に執り行われ、来年の完成を目指す。
3月28日には、同様に外宮でも上棟祭が執り行われる。