猿田彦大神を祭る猿田彦神社(伊勢市宇治浦田)で5月5日、お田植え祭り「御田祭(おみた)」が行われた。
変な踊り「ハエーヤハエ、ハエーヤハエ」豊年踊り。猿田彦神社御田祭にて
鎌倉時代から続くと言われる同祭は、五穀豊穣、大漁満足を祈願するもので、小学3年の童女「八乙女(やおとめ)」が玉苗を運び、楠部町の男8人女8人の植方(うえかた)が桃山時代の風俗を残した装束を着て一列に並び、一苗一苗を丁寧に挿苗する。囃方(はやしかた)は作業終了まで、笛や太鼓による田楽を奏で、祭りを盛り上げる。1971年3月に三重県の無形文化財の指定を受けた。
田植えが終わると神田の中央に恵比寿と大黒の長さ3メートルの大きなうちわを持った植方2人がその年の豊漁、豊作を占う「団扇角力(うちわずもう)」をとる。今年は、大黒が勝ち、豊作年と占った(昨年は恵比寿が勝った)。
団扇角力が終わると、今度は場所を同神社拝殿前に移動し、「豊年踊り」が植方らによって行われる。豊年踊りはユニークな拍子で、「ハエーヤハエ、ハエーヤハエ」と掛け声をかけながら踊る。最初の「ハエ」には「生える・早く大きくなれ」、後ろの「ハエ」には「栄える」という願いが込められているという。踊りが終わると団扇角力で使用したうちわを破る「団扇破り」が行われ、参列者らによって一斉に破られる。紙片は健康や火除けのお守りになるという。
神田は、本殿裏にあり約500平方メートル。同神田で種から育てたうるち米(コシヒカリ)ともち米(カグラモチ)の2種類の苗を植え、8月に刈り取られ、うるち米=約180キロ、もち米=約30キロを収穫する。11月23日の新嘗祭(にいなめさい)奉納後、うるち米は同神社猿田彦大神への毎日の神撰として、もち米は元旦の鏡餅として使用される。