「五ヶ所みかん」「内瀬みかん」などのブランドで知られる三重県の温州ミカンの生産地・南伊勢町で今年の冬、「みかんツリー」を制作しミカンに光を灯そうとするプロジェクトが動き出している。
同プロジェクトは、三重県立南伊勢高等学校南勢校舎(旧南勢高等学校)の地域おこしサークルの生徒と同校卒業生で組織する「南伊勢町をより元気にする会」のメンバーらが「まちに光を灯そう」と企画。ミカンの皮をナイフで切り中身を食べた後、皮を接着剤でくっ付け丸く元の形に戻し乾燥させ、ミカンの皮の中にLED電球を入れイルミネーションとして冬の夜を演出しようとするもの。
ミカンの皮の装飾は11月6日から順次、同町の保育園5園と小中学校9校の子どもたちと一緒に作り、「ツリー」は同町で出る間伐材を利用し高さ1.5メートル、横5メートルの大きさに仕上げようと準備する。「南伊勢町ふれあいセンターなんとう」(村山)と「五ヶ所浦児童公園」(五ヶ所浦)の2カ所に設置し、12月8日にみんなで飾り付け、その日の晩に2カ所同時に点灯式を行おうと計画する。
「みかんツリー」は、愛媛県のNPO「イケメン連」が「ミカンの皮で何かできないか?」と考え、まちおこしの一環として2006年から取り組んでいる事業で、高さ3メートルのツリーに500個のミカンを飾った。ミカンがうっすらとオレンジ色の光を放ち幻想的に見えることから話題を集め、今では「愛媛みかん」産地の冬の風物詩となっている。その話を「元気にする会」メンバーが聞き、同じミカンの産地・南伊勢町でもやってみようと「イケメン連」に相談しプロジェクトが動き出した。
ミカンの皮を乾燥させるために使う「シリカゲル」は富士シリシア化学(愛知県春日井市)から無償提供され10月31日、「シリカゲル」の贈呈式が同校で行われた。10月には「イケメン連」の二上雅史さんが作り方や注意点などをアドバイスするため同町を訪れている。
同校はタレントの磯野貴理子さんの母校でもあるが、生徒数の減少などの理由で、存続の危機に直面している。同校の地域おこしサークルは、その危機に直面する高校生たちが能動的にまちを良くしようと「まちづくり」をキーワードにしたサークルとして今年4月に発足。8月には、もっとミカンのことを知ってもらおうと、ミカンができるまでを分かりやすく描いた紙芝居や絵本を制作し、南勢地区の保育園5園を回って園児たちの前で読み聞かせを行った。高校生によるまちづくりサークルは、ほかの地域にはないため全国から注目されている。