三重県の文化を掘り起こし発信する伊勢文化舎(伊勢市神田久志本町)が昨年12月、三重県内の「まちかど博物館」100館を紹介するガイドブック「三重のまちかど博物館に行こう!」を出版した。
「まちかど博物館」とは、こだわりのコレクションや地域の暮らしや文化、産業に根づいた多彩な「宝物」を自宅や店舗などの一角で公開し、ほとんどが無料で見学できる施設をいう。まちの住民やその家のあるじがボランティアで館長を務めながら運営。現在、三重県には10地域に520館余りがあり、その数は全国一。
伊勢市のまちづくり団体「ザ・伊勢講」(2008年解散)が1993年に県内で初めて「伊勢まちかど博物館」として24館を公開したことがきっかけで、その後「まちかど博物館運動」として県内に波及、三重県の後押しを受け500館以上に拡大した。今年は「伊勢まちかど博物館」が公開20周年を迎える。
同社は、タウン情報誌「伊勢志摩」や地域文化誌「伊勢人(いせびと)」などの発行を通じて、地域のひとやものをつなげ情報発信し、同社も能動的に関わり、「御木本幸吉」や「小津安二郎」「竹内浩三」「平賀亀祐」など地元に関わりのあるひとや、「伊勢春慶」や「エスサイダー」「伊勢講(暦)」などものの掘り起こしをしてきた実績を持つ。「伊勢まちかど博物館」も同社が積極的に活動して形になった一例だ。
同誌では、一昨年の12月から約1年かけ調査し、展示内容や館長のキャラクター、地域性などを考慮し選んだ100館を紹介。 代表の中村賢一さんは「調査したときに『また行きたい』と思ったまちかど博物館には『また会いたい』と思う魅力的な館長が必ずいたので、取材のポイントを館長、つまり人に置いた。また珍しい『宝物』についてはプロのカメラマン5人に撮影を依頼しカラー写真で紹介した」と話す。
広域伊勢志摩圏内からは29館(鳥羽市と志摩市には登録するまちかど博物館がないので同じ体験などができる6施設)を紹介。三重のまちかど博物館運動の先駆けとなった「伊勢河崎商人館」(伊勢市河崎)や、昨年新しく公開したばかりの「伊勢菊一」(伊勢市本町)などもピックアップした。
価格は1,260円。県内の主要書店、スーパー、観光施設、道の駅などで販売する。