海に関する民族資料を所蔵・展示する「海の博物館」(鳥羽市浦村町、TEL 0599-32-6006)が1月7日、1年の無病息災を願って「春の七草」ならぬ「海の七草」を入れた「海の七草がゆ」を来館者に振る舞った。
鳥羽市内から南下し、カキ養殖で有名な浦村地区に位置する同館。海女や漁、木造船など海に関わる5万9000点以上の民俗資料を所蔵し展示する(うち6879点が国の重要有形民俗文化財に指定されている)。内藤廣さんが建築設計した同館の建物は数々の建築賞を受賞し、現在も建築業界から注目を集め、視察に訪れる建築家たちが後を絶たない。
「海の七草がゆ」には、ヒジキ、フノリ、ウミトラノオ、フクロノリ、ホンダワラ、ワカメの6種類の海藻と、青菜(白菜)を合わせた7品が入る。
「海の七草がゆ」はもともと、1月6日の夜に正装した一家の主が海から取ってきた海藻(4~5種類)と青菜をまな板の上に載せ、すりこ木と包丁を持ってテンポ良く「なずな七草、唐土の鳥が、日本の土地へ渡らぬ先に、かきやかしてごちゃごちゃ」と文句を唱えながら刻んだ「ナナクサ」を船や神棚、海の神などに供え、1年の幸を祈る同市国崎(くざき)町に伝わる「ナナクサタタキ」と呼ばれる風習をヒントに考案したもの。
この日は100人分のかゆを用意し、来館者に無料で振る舞った。東京に住む夫婦は「初めて食べたが、とてもおいしかった」と感想を漏らした。同館学芸員の久保田由美さんは「作り方は、さっと湯通しした海藻を包丁でたたきながら刻み、塩で味付けしただけのおかゆの中に入れるだけ。磯の香りと海藻の食感が楽しめる」と説明する。同館では海藻の押し葉ではがきや栞(しおり)作りの体験教室なども実施する。
開館時間は9時~16時30分(3月21日~11月30日は9時~17時)。入館料は、大人=800円、高・中・小学生=400円。