志摩の宇気比神社の境内にある恵比寿神社(志摩市浜島町)で1月20日、笑顔でタイを持ったふくよかなえびす像と一緒に海に向かって「ワッハッハ」と初笑いする「初恵比寿大祭」が行われた。
「鼻かけ恵比寿」の別名を持つえびす像の鼻はまだきれいに付いている
太平洋が一望できる眺めの良い恵比寿ヶ丘に立つ恵比寿神社、その社の横に高さ約2メートルの巨大えびす像が鎮座する。
大漁満足、家内安全、商売繁盛などを願って行われる同祭。神事が終わると氏子や漁業関係者ら約70人が巨大えびす像を囲み、禰宜(ねぎ)の横山比乃さんの合図で「ワッハッハ」「ワッハッハ」「ワッハッハ」と両手を上げて3回「初笑い」を行った。
「今年のえびすさんは鼻が高くて男前や」と地元の女性がその鼻を優しく擦った。その立派な鼻に触れるのもこの日だけ。翌朝にはそのえびす像の鼻が欠けてなくなってしまうからだ。
昔漁師が誰よりも早く漁場に行けるように(ハナを取れるように)、えびす像の鼻を削って漁をしたところ大漁になった。いつの日か祭りの後、深夜誰にも見られないようにえびす像の鼻を削ると大漁になる(いいことが起こる)と言われるようになり、誰かが験を担いで持ち帰ってしまうからだ。別名「鼻かけ恵比寿」の由来でもある。
「昨年もしっかりと無くなってしまいました(笑)」と笑顔で話す横山さん。通常なら器物損壊罪で事件になってもおかしくないのに、大らかな漁師町に伝わる昔ながらの風習。今年も明日の朝には無くなってしまうのか?