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志摩「代々木高校」で7回目の卒業式-「世界に一つだけの真珠」胸に

志摩「代々木高校」で7回目の卒業式-「世界に一つだけの真珠」胸に

志摩「代々木高校」で7回目の卒業式-「世界に一つだけの真珠」胸に

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 伊勢志摩国立公園の中心にある賢島の、国の構造改革特区法により開校した通信制高校「代々木高等学校」(志摩市阿児町、TEL 0599-43-6177)で3月9日、7回目の卒業式が開かれた。会場は1階シャンデリアのある大ホール。

卒業生の胸には自分たちが作った「世界に一つだけの真珠」が輝いている

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 暖かな日となったこの日、在校生、卒業生の保護者らが見守る中、会場にビートルズの「マジカルミステリーツアー」が流れると、元気よく卒業生たちが登場した。同校の一色真司学校長から卒業生一人一人に卒業証書が手渡され、卒業生は感謝の気持ちをマイクを通して言葉にした。

 同校があっせんしたホテルなどに住み込み料理人として修業し、働きながら高校を卒業する「伊勢志摩料理人コース」からは4人の卒業生が出席。早くに両親を亡くし祖父母に育てられた加藤大智さんは、東京から身寄りもなく何も分からないこの伊勢志摩にやってきた一人。「職場ではあいさつや礼儀などを学び、人間として大きく育てていただいた。代々木高校は祖父が僕のために探してくれた。この学校を見つけてくれた祖父に感謝している」と謝辞を述べた。

 毎年恒例のSMAPの「世界に一つだけの花」をみんなで歌い、卒業生を送った。卒業生の胸には自分たちが養殖し作った「世界に一つだけの真珠」のアクセサリーが輝いていた。

 一色校長は「『高校生らしい』の言葉でくくられて苦しい思いをした生徒もいるでしょう。多様性を認め合い『自分らしい』を追求し、自分と向き合い、頑張ってほしい」と締めくくった。この日卒業証書を受け取ったのは、三重県内の賢島本校と伊勢中川・津のサテライト校の58人(全卒業生は372人)。

 賢島は、近鉄が「伊勢志摩リゾート」として位置付ける最重要駅の「賢島駅」、フランス料理で有名な「志摩観光ホテル」、ペンギンやマンボウがいる「志摩マリンランド」などがあるいわゆる観光地。真珠養殖盛んなリアス海岸の風光明媚(めいび)な英虞湾(あごわん)の真ん中に浮かぶ2本の橋で結ばれた島だ。

 同校は、志摩市が「伊勢志摩インターネット高校特区」として、豊富な自然やスポーツに適した環境を生かした教育を実施し、自然とスポーツを加えた情報通信ネットワークの街=志摩市を全国にアピールしていくことを目的に認可された通信制高校で、地域の不登校の生徒や高校を中途退学したがもう一度勉強したいという人、プロスポーツ選手を目指し試合や海外遠征などで全日制高校の修学が困難な生徒らを受け入れている。生徒らは、ネットを活用したリポートの提出や定期的なスクーリングに通い、明るく元気に学んでいる。

 学校施設に必要な条件が特区制度の規制緩和により、ホテルだった建物をそのまま利用した同校。海の見える客室は教室や校長室に、高価なシャンデリアに間接照明の宴会場は大ホール、残りの客室は生徒らが廉価に宿泊できる部屋として活用する「高校らしくない」高校だ。

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