「大麻(たいま・おおぬさ)」と呼ぶお神札(ふだ)や暦(こよみ)を奉製する年初めの祭典「大麻暦奉製始祭(たいまれきほうせいはじめさい)」が1月8日、伊勢神宮のお神札やお守りなど授与品を奉製する神宮司庁頒布部(伊勢市中村町)で行われた。
同祭は、1年間の奉製作業の安全、頒布が滞りなく行われるように祈願するもので、毎年「御用始め」となるこの日に行われる。この日は、鷹司尚武大宮司を始め神職や職員と79人の奉製員、計117人が祭典に参列。神饌(しんせん)を奉納し祝詞(のりと)奏上の後、大麻第1号に印を押す最初の奉製作業が宮嶋通久祢宜の手によって慎重に行われた。
「大麻(神宮大麻)」とは神棚などに祭る伊勢神宮の神札のこと。大麻には大きく分けて、神宮で直接授与する「授与大麻」と全国の神社に頒布される「頒布大麻」の2種類があり、頒布大麻の神号名には「天照皇大神宮(てんしょうこうたいじんぐう)」と書かれ、「皇大神宮御璽(ぎょじ)」の印が押されている。
「神宮暦」とは、「神宮大暦(たいれき)」と「神宮暦(小暦)」の2種類があり、科学的データに基づき天体・気象の詳細な情報、全国各地の神社の例祭日などを記載した暦・カレンダーのこと。
もともと大麻や暦は御師(おんし・おし)が全国に頒布していたものを、御師制度が廃止された1872年から神宮が同部での奉製・頒布を行い、神社本庁を通じて全国各地の氏神を祭る神社に頒布され、そこから各家庭に届けられている。近年、さまざまな要因(住宅事情、格家族化など)が重なり、神棚を祭らない家庭が増えているため、頒布大麻の頒布数は微減を続けている。一方、伊勢神宮への参拝者数の増加により授与大麻は増加している。
同部では1年間に、大麻904万体(大麻=850万体、中大麻=50万体、大大麻=4万体)、神宮暦7万7000部(小暦=7万部、大暦=7000部)を奉製し、9月17日に行われる「大麻暦頒布始祭」の後、全国に頒布する。