伊勢の二見(ふたみ)を愛するクリエーターたちが集まって活動する「カエル堂」(伊勢市二見町)が今年も旧暦の正月・新月の日になる1月31日、「二見浦月暦 日出づる町・月照らす渚」を限定(100部)で無料配布する。今年から有料で月暦1年分セットの販売も始める。
同暦は、地球の周りを約29.5日かけて1周する月の周期を元に、新月の日を1日(朔日ついたち)として次の新月までを1カ月とする月暦で、月の満ち欠けを月名とイラストでわかりやすく表現し、「二十四節気」とそれを3分する「七十二候」、二見町からの月の出・月の入、日の出・日の入の時刻が記されたカレンダー(A5サイズでハトロン紙を使用)。
例えば、旧暦の1月5日に当たる2月4日は、二十四節気で「立春」、七十二候で「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」、旧暦の10月8日に当たる9月15日は、皆既月食に当たる十五夜で満月、二十四節気で「寒露」、七十二候で「鴻雁来(こうがんきたる)」月の出は17時22分などと表記する。
「二見浦月暦」を製作・配布するカエル堂メンバーは、二見町出身のライター・中村元美さんを中心に、岩手出身東京在住のデザイナー・古城里紗さん、静岡出身伊勢在住のカメラマン・田山湖雪さんと伊勢出身のホームページ・システム担当・味川徳次さんの4人。2年前から新月の日に1カ月分を毎回配布してきた。
12年間のアメリカ生活の後、満月に導かれるように伊勢にたどり着いたという古城さんは、2010年の約1年間を二見で過ごした縁からカエル堂メンバーに。古城さんは「伊勢に居た時、冬至に宇治橋から昇る朝日や夫婦岩から昇る月…。自然の事象が生活ととても密着していることに驚き、『遠い昔の人たちが気付いた自然のリズムをいま私が体験している』と感じた瞬間がとても感動的で、東京に戻り、ふとした瞬間に何度も空を見上げて月を見ている自分に気付き、『これは心が豊かになる大きな財産』と感じた。『二見で何かできることがないか?』と話していた時に、ありのままの二見の美しさを感じられるようなミニマムなデザインの月暦を作り、毎月旧暦の朔日に配布しようと決めたのが始まり」と振り返る。
中村さんは「これまで(自費で)毎月100部だけ配布してきたが、すぐに無くなってしまうこともあり、数人の方から『1年分の月暦が欲しい』というリクエストを頂き、今年から100部だけ販売用に刷ってみた。可能な限りこれからも『二見浦月暦』の無料配布を続けていきたいと思うので、(利益が出なくても)少しでも印刷費などの経費に充てることができればうれしい」と話す。
月暦の配布先は、二見町の二見浦観光案内所(生涯学習センター)、二見郵便局、伊勢市役所二見総合支所、JR二見浦駅、賓日館(ひんじつかん)、五十鈴勢語庵、朝日館、岩戸館、赤福二見支店と、伊勢市河崎のモナリザ。
二見浦月暦1年分の価格は850円(送料150円)。カエル堂ホームページと朝日館(二見町茶屋、TEL 0596-43-2001)で扱っている。