家内安全や無病息災などを祈願する「春季厄除(やくよけ)大会式」が2月18日、多気町長谷の山の上に立つ「近長谷寺(きんちょうこくじ)」で行われた。
普段はひっそりと佇(たたず)む同寺の境内に約300人の参拝者が訪れ、日本修験道会による柴燈(さいとう)護摩や火渡り護摩、厄払いの餅投げなどが行われた。餅投げの餅は、地元のまちづくり団体「一八会」が同寺にちなんで作った「長谷の車田」で収穫した米や同寺世話人会や地元住民からの米約180キロでついた。
真言宗山階派の同寺は平安後期885年創建と伝わる。本尊は国の重要文化財の指定を受ける像高6.6メートルの「木造十一面観音立像」。「仏像マニア」と呼ばれる仏像ファンもレンタカーを借りて訪れるほど。
多気郡多気町の長谷と、神坂という山あいの狭い地域に「普賢寺(ふげんじ)」「金剛座寺(こんごうざじ)」「近長谷寺」の千年以上の古い歴史を持つ三寺院が立つ珍しい地域であるため、地元の人たちは親しみを込めて「多気のチベット」と呼ぶ。
同祭に参加した津市出身の女性は「(高齢なので)なかなか来られないが、『木造十一面観音立像』との対面はそれだけで幸せになる気がする。たくさんの人に拝観していただきたい」と話す。
「木造十一面観音立像」は毎月18日と日曜・祭日限定で、希望者だけに開帳している。拝観は10時ごろ~15時ごろ。拝観料は200円。