伊勢市民に「お相撲さんが伊勢に春を運んでくる」と親しまれている「神宮奉納大相撲」が3月30日、伊勢神宮と神宮会館(伊勢市宇治中之切町)内の神宮相撲場で行われた。
「神宮は奉納大相撲」1955(昭和30)年に第1回が行われ今回で59回を数えた。伊勢神宮内宮(ないくう)神苑(しんえん)で行われる予定だった「手数(でず)入り」(土俵入り)の奉納は荒天のため神宮内の参集殿に場所を移して行われた。
「手数入り」には白鵬(太刀持ち=豊ノ島、露払い=臥牙丸)と、日馬富士(太刀持ち=宝富士、露払い=照ノ富士)が不知火(しらぬい)型、鶴竜(太刀持ち=勢、露払い=鏡桜)が雲竜型で決めた。「三役そろい踏み」には琴奨菊・稀勢の里・豪栄道・栃煌山・松鳳山・豊ノ島がそろった(観客約500人)。
神宮会館の神宮相撲場で行われた幕内トーナメント戦には相撲ファン約3050人が詰め掛け、16人の力士たちが気迫のこもった取り組みを見せた。決勝は、大相撲春場所で初優勝を飾り新横綱となった鶴竜と大関稀勢の里が対決。結果は稀勢の里が鶴竜を押し出し優勝を決めた。
朝早くから並んだという名古屋在住の男性は「毎年神宮参拝を兼ねてこの奉納相撲を見るのを楽しみにしている。名古屋場所とはまた雰囲気が違うから面白い」と満足そうに話す。全ての取り込みが終了したころには雨は上がり、清々しい青空が伊勢神宮周辺を包み込んでいた。