相可高校(多気町相可)食物調理科にこの春入学した新1年生16人(男子3人、女子13人)が4月16日、3年間使用する名前入りの白衣と和洋5本の包丁セットを受け取る最初の儀式「白衣包丁授与式」に臨んだ。
同校調理実習室で行われた「白衣包丁授与式」は、調理人になるための志を明確にし、さらに意識を高めまい進するように、初心をいつまでも忘れないように行うもので、同科創設の1994年から続く伝統行事。
同8日に入学式を終えたばかりの新入生は、緊張した面持ちで同校の制服を着て整列。吉川秀明教頭が代表の山田千結(ちゆい)さんに純白の調理着(白衣)を手渡すと、その場で白衣に着替えた。その後全員が白衣と短帽、エプロン姿に着替え再び整列すると、高岡ありささんが吉川教頭から包丁を受け取った。
山田さんは「白衣を着て身が引き締まった。地域に貢献し、調理だけでなく心も磨きたい」と誓いの言葉を述べると、吉川教頭は「あなたたちはプロの料理人になりたいと思って入学した。これからの3年間には辛いこともあると思うが、今の気持ちを大切にして頑張ってほしい」と激励した。
その後生徒たちは、ピカピカに光った包丁を砥石(といし)で研ぐ作業の指導を同科の村林新吾教諭から受け、真剣な表情で慎重に丁寧に包丁を研いだ。村林教諭は「『白衣包丁授与式』を終えるまで新1年生は白衣を着ることができない。普通なら儀式なんか面倒なのでやる必要がないと思うかもしれないが、白衣の袖に手を通すことの意味を体で覚え、料理人として常に意識を高く保つために必要なこと」と授与式の大切さを説く。
村林教諭は「4月22日~24日にはアメリカで開催される料理会のハーバードといわれる食の国際会議『ワールド・オブ・フレイバー』に、7月1日~4日には『ミラノ万博』に、それぞれ生徒たちが参加する。ミラノ万博では3日間で計600食(1日200食)を提供する。あくまでも教育。人材育成のためにどうしたら生徒たちにいい機会を与えることができるか?そればかりを考えている。新1年生も先輩たちの姿を見て夏ごろには目つきが変わってくるはず」と期待を込める。
同科の生徒たちは毎年、数々の料理コンテストで優勝し実績を積み重ねる。高校生が運営する飲食店「高校生レストラン まごの店」(同五桂)の運営で人気を集め、今ではまちづくりや人材育成のモデルケースとして全国から訪れる視察団が後を絶たない。「まごの店」は放課後のクラブ活動の一環として運営するレストランで、1日約250人分の食事メニューを提供する。「まごの店」をモデルにしたドラマ「高校生レストラン」(日本テレビ系列)が2011年、全国で放映された。