伊勢志摩サミット開催まであと4日と迫る5月22日、核兵器の廃絶と世界平和を訴える「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」が伊勢市観光文化会館(伊勢市岩渕)で始まった。主催は広島市と長崎市。
1945年8月、アメリカ軍が広島と長崎に落とした2発の原子爆弾によって21万人以上の子どもからお年寄りまでの罪なき日本人の尊い命が奪われた。サミット終了後、オバマ米大統領は歴代米大統領の中で初めて広島を訪問する予定。
松井一実広島市長と田上富久長崎市長は、世界中のメディアの人たちが多く集まる国際メディアセンター(IMC)のある伊勢市で同展を開催することを決定。この日は両市長が伊勢市を訪問し同展の開会式に参加。「多くの人に被爆の事実を知ってほしい」と核兵器廃絶を強く訴えた。
伊勢市内の中学校に通う3年生、厚生中学校の北村緋乃さん、宮川中学校の西川遥さん、港中学校の林ブランデン昇吾さんが「平和の誓い」を発表。代表の北村さんは「世界で唯一の被爆国に生まれた私たちは、恐ろしい戦争や核兵器について詳しく知らないことがまだまだたくさんあります。だからこそ学び、理解していくことが大切です。おいしいご飯をお腹いっぱい食べること、きれいな服を着ること、家に帰ると『おかえり』と言って迎えてくれることなど普段当たり前にあることに感謝しなければいけないことを知りました」と訴えた。
開会式の後、原爆投下後も生き延びた「被爆樹木」の苗木の授与式があり、広島市から「アオギリ」、長崎市から「クスノキ」が伊勢市に贈られた。
同展では、原爆で焼けた三輪車や当時中学1年だった折免滋さんのために母親が作った食べることができなかった弁当と弁当箱、千羽の鶴を折ると願いが叶うと信じながらも亡くなっていった佐々木禎子さんが折った折り鶴など広島、長崎の被爆資料24点のほか、写真パネル34点を展示する。
両市は、九州・沖縄サミット、北海道洞爺湖サミット(12日間)でも同展を開催し、それぞれ約6000人、4052人が来場した。
同展の開催は29日まで。28日には広島市の被爆者、山本定男さんの被爆体験証言、被爆体験記朗読会もある。