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志摩・示現山和具観音堂で防災訓練 秘仏を火災から守るシミュレーションも

志摩・示現山和具観音堂で防災訓練 秘仏を火災から守るシミュレーションも

志摩・示現山和具観音堂で防災訓練 秘仏を火災から守るシミュレーションも

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 国や県の貴重な文化財にも指定されている秘仏を火災から守り消火する訓練が1月26日、鎌倉時代創建の「示現山(じげんざん)和具観音堂」(志摩市志摩町)で行われた。

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 檀家(だんか)を持たず地域の人々の厚い信仰によって支えられ今日に至る示現山和具観音堂は志摩市唯一の観音堂(宗派は真言宗)。同山世話人代表の山下数奈さんは「示現山は『奇跡の起こる場所』という意味を持つ。おそらく奇跡が起こることを信じて祈り、物事が好転する事象が何度も起こり、その信じる祈りが鎌倉時代からずっとささげられてきた場所だから奇跡の起こる場所、奇跡を起こす場所だと言われるようになったのだと思う。実際に私がここに来てからも数々の奇跡を目の当たりにしている」と話す。

 同山には、国指定重要文化財「銅造如来坐像」(総高16.9センチ)、三重県指定有形文化財「木造仏頭」(同98センチ)、三重県指定有形文化財「木造十一面観音立像」(同173センチ)、志摩町指定有形文化財「木造 薬師如来坐像」(同150.6センチ)、「木造 朽損仏4体」を祭る。全て平安時代の仏像で、毎月第1日曜以外は「秘仏」としている。そのほか、江戸時代中期の「大般若経経典」600巻も残る。

 当日は、志摩市消防本部と志摩市消防団志摩方面隊の計21人が現地に駆けつけ、本堂から文化財となっている仏像を運び出すシミュレーションを行なった後、本堂の屋根に約1.5トンの水をかける消火活動訓練を行った。訓練を指揮した藤川知大さんは「現場までは道路が狭く入り組んでいるため、小回りが利く消防団の消防車や土地に詳しい地元消防団員との連携、文化的価値のある仏像をどう取り出すかなどを訓練の目的として取り組んだ」と説明する。

 山下さんは「今回初めての防災訓練を実施していただき、とてもありがたい。駐車場もない小さなお堂だが、国や県が認めた文化的価値のある仏像が数多くある。今回は疑似的な訓練だったが、実際に重く、大きな仏像が運び出せるかは正直なところ疑問。火災を起こさないように細心の注意を払って、これからも守り続けていければ」と話す。

 災害現場の状況把握を迅速かつ効率的に行うことを目指し全国に先駆けて昨年12月に導入したAIとスマートグラスとドローンの融合による最先端救助支援システム「3rd-EYE(サードアイ)」についても、地域住民約20人に説明。その後、山下さんが消防隊員や消防団らに秘仏の仏像を見せてその価値について説明し、最後に、災害が起こらないよう、世界が平和になるよう思いを込めて手を合わせた。

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