樹齢350年以上と推定されている志摩の一本桜=「家建(やたて)の茶屋跡の大島桜」(志摩市磯部町恵利原)に、今年も大勢の人が集っている。
一本桜は、真珠王=御木本幸吉翁が信仰し真珠事業の成功を成就したとされる「天の岩戸」(同)近く、志摩から伊勢神宮までの旧街道沿いで、自動車でしか行けない田園風景残る辺鄙(へんぴ)な場所に佇(たたず)んでいる。
昔の伊勢参宮のガイドブックでもあった「伊勢参宮名所図会」寛政9年(1797年)の巻5に「家建の茶屋」として桜の木が描かれている。品種は大島桜(オオシマザクラ)、純白の花を付け同時に緑の若葉を伴って咲くのが特徴。伊豆大島に多く見られることからその名が付いた。
花見に訪れた市内在住の男性は「今では誰も来ないような場所にでも、毎年桜の開花時期になると自らは何も語らなくても人が集まってくる。そしてその雄姿は訪れる人すべてに感動を与える。この桜のような人になりたいといつも思う」と話す。