志摩から伊勢神宮までの旧街道沿いの樹齢350年以上の一本桜「家建(やたて)の茶屋跡の大島桜」(志摩市磯部町恵利原)が今年も満開の花を咲かせた。
スサノオの悪事に怒り、アマテラスが天岩戸に引きこもってしまったという神話「岩戸伝説」に登場する「天の岩戸」(同)入り口に生える一本桜は、昔の伊勢参宮のガイドブックでもあった「伊勢参宮名所図会」(1797年)の巻五に、「家建の茶屋」として桜の木が描かれる。品種は大島桜(オオシマザクラ)、純白の花を付け同時に緑の若葉を伴って咲くのが特徴。伊豆大島に多く見られることからその名が付いた。
3月28日には1日限定で茶屋の再現も行われ、大勢の見物客が訪れた。当日は、この地区に昔から残る「恵利原早餅つき」も披露され、「名水百選」(環境省)に選ばれた「恵利原の水穴」の水を利用し、抹茶とつきたての餅が振る舞われた。
志摩市産業振興部観光戦略室の仲井裕子さんは「まだそれほど暖かくないので、もう少し(花見が)楽しめると思うが、今が一番の見ごろ」と話す。「道中道幅が狭いので注意して行ってほしい。車を『天の岩戸』の駐車場に止めれば、森林浴も楽しめる。『天の岩戸』にも足を運んでいただければ」とも。