今年55周年を迎え現在入館者数で日本記録を更新中の鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽、TEL 0599-25-2555)は5月22日~23日、伊勢湾に生息するイルカの一種「スナメリ」について勉強する「スナメリ・イルカ教室(スナメリキャンプ)」を開催した。
宮城や東京、大阪などから集まった親子連れやスナメリファン32人が参加し、同館レクチャーホールで開校式を行った。その後、伊勢湾で泳ぐスナメリを探そうとチャーター船に乗り込み、鳥羽湾を出航した。神島までの約2時間のクルージングでスナメリを探したが、この日は風が強く白波が立っていたため確認が困難で見つけることができなかった。
参加者は、レクチャーホールに戻り、スナメリの研究を38年間続けてきた同館の古田正美館長から、伊勢湾に生息するスナメリと生物多様性についての話を聞いた。
古田館長は「スナメリは体長170~200センチでほぼ人間と同じ大きさ。特徴は背ビレがなく、胸ビレ、尾ビレが大きい。頭が丸く、歯はスペード型をしていて、皮膚はホットケーキの柔らかさとほぼ同じ。呼吸は30秒~60秒、長くて90秒。何でも食べる」と説明。
「現在伊勢湾には約3,000頭のスナメリがいると推測。伊勢湾と瀬戸内海のものを比べると伊勢湾のスナメリの方がスマート。背ビレがないことや皮膚が柔らかいことなどから、海流が穏やかで食べ物が豊富な場所で生活する。伊勢湾には850種の魚類、600種の甲殻類、200種の貝類が生息し豊富な食べ物があるので、最適な環境だといえる。スナメリにとってより住み易い環境を作っていきましょう」と伊勢湾の環境を伝えながら生物の多様性について訴えた。
さらに「スナメリは『水産資源保護法』で厳重に管理されており、保護する場合でも、何らかの影響で死んでしまって砂浜などに打ち上げられた場合でも許可申請が必要になることを知っていただき、もしどこかでスナメリを発見した場合、すぐに報告してほしい」と付け加えた。
その後参加者は、水族館のナイトウオッチングを楽しみ、大水槽の前で就寝した。23日は水族館のバックヤード見学などを行い生き物についてさらに学んだ。