8月1日発売の地域文化誌「伊勢人」8・9月号(700円)で、23歳で戦死した伊勢出身の詩人・竹内浩三が特集されている。特集タイトルは「伊勢が生んだ天性の詩人-特集-竹内浩三が見たNIPPON」。伊勢での生い立ちや生前に書いた漫画や詩、日記などを通じて竹内浩三を紹介している。発行は伊勢文化舎(伊勢市神田久志本町、TEL 0599-23-5166)。
竹内浩三は1922年、宇治山田市(現伊勢市)吹上町生まれ。3年先輩の映画監督・小津安二郎も卒業した宇治山田中学校を卒業。映画監督を志し、1940年日本大学専門部(現芸術学部)映画科へ入学、1942年同大学を繰り上げ卒業し、入隊。1943年茨城県筑波の滑空部隊に転属後、1945年フィリピン・バギオにて戦死。生前に書いた詩や日記に脚光が当たり、7月22日には竹内浩三の生涯を再現ドラマとドキュメンタリーで紹介する番組が、NHK BSハイビジョン放送で放送されたばかり。昨年生誕85年を迎え、伊勢市でシンポジウムが開催されたこともあり県内外で関心が広がっている。
特集では幼少期から中学、大学時代の写真や実姉の松島こうさんのインタビュー、大学時代に創刊した「伊勢文学」について、「竹内浩三」が世に出るまでのエピソードなどを詳しく61ページにわたって紹介している。
同誌中村賢一編集長は「竹内浩三の代表的な作品『骨のうたう』などから反戦詩人などと誤解されているところがあるが、たまたま戦時中だっただけで、実は彼の中学、大学時代に書き残した作品を見ていくと生きることの喜びや故郷への愛に満ちた感性豊かな詩人であることが分かる。彼の飾り気や作為のない天真で無垢な感性を『伊勢人(いせびと)』の代表の一人と位置づけ、多くの人に知ってもらうきっかけになり、『竹内浩三』が、『伊勢の宮沢賢治』として多くのファンを獲得し、地域の求心力になれば」と話している。
「伊勢人」は今号で休刊する。今後は「別冊伊勢人」、温泉ガイドブック「湯るなび」、三重のガイドブック「旅くらぶ三重」の出版などを予定。
「伊勢人」伊勢文化舎「伊勢人」携帯用ホームページ関連記事(伊勢志摩経済新聞)