映画「ゴジラ」(1954年)の第1作目のロケ地として「ゴジラが初上陸した」鳥羽市石鏡(いじか)町の隣にある「小白浜(コジラはま)」で鳥羽市立鏡浦中学校(浦村町)の全校生徒26人が6月6日、アマモの移植作業を行った。
この地域は、「浦村カキ」で有名なカキの養殖が盛んで近年はシーズンになるとカキを食べ放題させる店が集積し、新たな人気スポットとなっている。一方、東日本大震災による津波の影響を受け、カキイカダが流され大きな被害を被った。同校生徒にはカキ養殖など水産業に従事する親を持つ生徒も多い。
総合学習の授業を活用して取り組む同作業は、アマモを移植し藻場の再生を行うもので、この作業を通して鳥羽磯部漁業協同組合浦村支所や海の博物館(同)など地域の人たちと関わり問題意識を持ち、地域の「人」「もの」「こと」から学び鏡浦に生まれたことに誇りを持ってもらえるよう昨年から実施している。
生徒らは同博物館学芸員の平賀大蔵さんの説明を熱心に聞き、水中に生えているアマモをスコップで取り、一つ一つ小石を入れガーゼで包み再び海に戻す作業を繰り返しこの日だけで約500株以上を移植した。同時に、カキ殻を活用したアサリの養殖を研究する「浦村地区アサリ研究会」(同)の取り組みについても学び、養殖作業を手伝った。
同校の濱田博文校長は「10月ごろには魚を釣ってその魚で干物を作り、鳥羽市駅前で開催している『鳥羽しおさい市』に干物と、今回のアサリを使ったみそ汁を生徒ら自らが販売し、その売り上げを東日本大震災の被災地へ義援金として寄付したいと考えている。生徒らはその一連の活動を通して、鳥羽のことに興味を示すようになる」と話す。
移植後生徒らは、アマモ場に生育するメバルやフグの稚魚やタツノオトシゴの仲間のヨウジウオなどの生物を観察した。