五ヶ所富士とも呼ばれる標高178メートルの五ヶ所浅間山の麓にある「愛洲の里・愛洲の館」(南伊勢町)で8月28日、剣術「影流」の祖、剣道の始祖とされる「愛洲移香斎(あいすいこうさい)」の偉業をたたえ「剣祖祭」「愛洲氏顕彰祭」が開催された。
愛洲移香斎は、この地で勢力を持っていた伊勢の豪族「愛洲氏」の一族で、1452年に同地で誕生する。本名は愛洲太郎左衛門久忠。移香斎が起こした「愛洲影流」は、後に「新陰流」(上泉伊勢守秀綱)、「柳生新陰流」(柳生石舟斎)など剣術の源となり、江戸時代には600もの流派が生まれたといわれている。1538年没。
今年で30回を数える同祭は、愛洲城(五ヶ所城)跡の森林の中にたたずむ愛洲移香斎記念碑の前で執り行われ、全国から集まった18団体130人以上の剣士が、木刀や真剣を使い日頃の鍛錬の成果を奉納演武した。
愛洲の館で週3回子どもたちに剣道を指導する日本剣道形愛洲道場代表、剣道教士7段で同祭実行委員長でもある西岡孝夫さんは「愛洲移香斎氏の教えを尊び、剣道の祖・愛洲移香斎生誕の地として、偉業をたたえ功績を広めていきたい。子どもたちには、剣道を通して礼儀作法はもちろん、苦しさから逃げない、自分に負けない強い心を養う心を伝えたい」と話す。
奉納演武の後、地元少年剣士による野試合(風船割り)、竹の器によるソーメンの振る舞い、少年剣道大会などが行われた。