東日本大震災発生後、急きょ発行が決まった東日本大震災寄付金付き特殊切手のデザインを鳥羽市出身の玉木明さんが手掛けた。
鳥羽市出身の玉木明さんが手掛けた東日本大震災寄付金付き特殊切手
玉木さんは3月11日、東日本大震災発生後すぐに、「翌週月曜には寄付金付き切手の発行が決定するだろうと思っていた。通常2~3カ月かかるものを、実質1週間でデザインを起こした」と当時の状況を振り返る。
郵便事業株式会社(東京都千代田区)は被災地の早期復興を願い、被災者救助や災害予防のために役立ててもらおうと3月31日、80円切手に寄付金20円を加算した100円の特殊切手「東日本大震災寄付金付」シート700万枚(切手=7000万枚)の発行を決めた。6月21日から販売を開始し当初8月26日までの期間限定だったが9月30日まで販売を延長した。9月中旬現在までに約3200万枚が売れたという。
宇治山田高等学校(伊勢市)、愛知県立芸術大学(愛知郡長久手町)を卒業後、郵政省に入省した玉木さんは、日本で発行される全ての普通切手や記念切手のデザインを行う営業本部郵便事業部 切手・葉書室で働き、切手デザインを担当する。これまで玉木さんが手掛けた切手の数は約270種類に及ぶ。同室が昨年度発行した記念切手の枚数は43件、379種類、約8億枚。
同切手のデザインに対しての思いについて、玉木さんは「バラというよりは野に咲く花をイメージし、購入してくださるお客さま、被災された皆さまの気持ちを考えながら、『ハートの花』『赤い花』『花と小鳥』『白い花』『青い小鳥』の5種類をデザインした。通常はセンスのいいデザインなどを意識するが、今回は被災された多くの方々を元気づけたいという思いが届くように、一日も早く被災地が復興するように、願いを込めた」と説明する。
寄付金は、「お年玉付郵便葉書等に関する法律(昭和24年法律第224 号)」第5条第2項の規定に基づき販売期間終了後、総務省の審議会にかけられ寄付金配分先を決定し、被災された地方公共団体に届けられる。
同様の特殊切手は、1995年阪神淡路大震災発生後にも発行され5000万枚弱を売り上げ、9億円以上が寄付金として被災地支援に役立てられた。当時は、スケジュール上、印刷に間に合う切手に寄付金「+20円」を付け加え発行した経緯が残る。