伊勢神宮のお神札(ふだ)など授与品を奉製する神宮司庁頒布部(伊勢市中村町)で1月8日、「大麻(たいま・おおぬさ)」と呼ぶ神札を奉製する年初めの祭典「大麻暦奉製始祭(たいまれきほうせいはじめさい)」が行われた。
同部は、大麻や神宮暦、お守り、そのほかの授与品を奉製・頒布する。同祭は、1年間無事に大麻や神宮暦の奉製作業が行われるようにと祈願するもので、毎年行われる恒例行事。この日は、鷹司尚武大宮司を始め神職や職員と83人の奉製員、計100人以上が祭典に参列した。神饌を奉納し祝詞(のりと)奏上の後、最初の奉製作業として神職により大麻第1号に印が押された。
「大麻(神宮大麻)」とは、一般的に使われるマリファナなど麻薬を指すのではなく、1000年以上前から使われている日本語で、神棚などに祭る伊勢神宮の神札のことをいう(お払いに使う道具のことも大麻という)。大麻には大きく分けて、神宮で直接授与する「授与大麻」と全国の神社に頒布される「頒布大麻」の2種類があり、頒布大麻の神号名には「天照皇大神宮」と書かれ、「皇大神宮御璽(ぎょじ)」の印が押されている。
「神宮暦」とは、「神宮大暦(たいれき)」と「神宮暦(小暦)」の2種類があり、科学的データに基づき天体・気象の詳細な情報、全国各地の神社の例祭日などを記載した暦・カレンダーのことで、同部での重要な奉製品の一つ。もともと大麻と同様に御師(おんし)が全国に頒布していたものを御師制度が廃止された1872年から神宮が同部での奉製・頒布を行い、神社本庁を通じて全国各地の氏神を祭る神社に頒布され、そこから各家庭に届けられるようになった。
同部では1年間に、大麻954万体(大麻=900万体、中大麻=50万体、大大麻=4万体)、神宮暦7万6千部(小暦=7万部、大暦=6千部)を奉製する予定。