ほとんどが口コミだけによる販売で流通に乗らない志摩市の稲田武久さんが作る「電子梨」の花が満開になっている。
「電子梨」は約70本ある「幸水」「豊水」などの品種の梨に特殊な技術で電流を流してできる「電子水」を散布してできる稲田農園(志摩市磯部町)の梨をいう。「実のざらつきが無くなり、肉質が丸く、とても水分が多い梨」と評価され、口コミだけで毎年完売する。
サクラよりも少し大きく純白の花で満開となっているハウスでは現在、摘花した花の花粉を集め、ミツバチと人の手による受粉作業が行われている。
稲田さんは「1980(昭和55)年ごろ、環境汚染問題について書いた有吉佐和子さんの長編小説『複合汚染』(1974年10月~1975年6月、朝日新聞に連載)を読んだことがきっかけで、できるだけ農薬を使わない栽培方法を実践しようと決意。そのころ出合ったのが『電子水』」と説明する。
収穫は8月初旬から始まる。